6/23

風邪が長引いている。

今月中旬くらいから咳とだるさが引かない。先々週の土曜日に事務所近くのクリニックを受診し,処方薬を飲み始めた。

雑誌下版の時期なので,眠くなるPLのゾロを1日止めた以外は5日分飲み切った。回復しないため,木曜日に別のクリニックを受診しようと思ったところ,木曜日休診というクリニックが多いことに今更ながら気づく。金曜日に予約を入れて,木曜日は昼まで自宅で休む。

午後から印刷所で校正確認がある。起き出してシャワーを浴びてから家を出る。1時間ほどで校正の確認を終える。御徒町まで歩き,アメ横でコーヒー豆を買って事務所に戻った。仕事を片づけて早めに帰宅して横になる。熱が38℃台まで上がる。

金曜日は予約していたクリニックを受診。コロナとインフルエンザの検査をしたものの陰性。気管支炎か軽い喘息ではないかと。吸入薬を含め新たに処方箋をもらい事務所に行く。雑誌下版の片づけなどを済ませて帰宅。このところ,一日10時間近く眠っているかもしれない。

週末はほとんど自宅で横になっている。木曜日くらいから家内も同じ症状になったので,二人して週末を咳こみながら過ごす。

さすがに10時間続けて眠るわけではないので,横になりながら久しぶりに何冊かの本を続けて読んだ。再読ばかりとはいえ,大塚英志の『日本がバカだから戦争に負けた 角川書店と教養の運命』(星海社新書,2017年)は村上一郎の『岩波茂雄と出版文化』(講談社学術文庫,2013)を読んでいないと源義のあたりはミスリードされかねない書きっぷりだが,後半の工学的知に関する考察はメモをとっておかねばならないと思った。

その後,つい『フィルムノワール/黒色影片』を読み始めてしまった。国内での出来事あたりは何度読み返しても面白く,場面が香港に移ってからをどうたのしむか。チャンドラーの長編がそうであるように,矢作俊彦の二村永爾シリーズの本作と前作は途中でがらりと場面が変わる。筒井康隆の『旅のラゴス』は越えすぎでめまいを覚えるものの,小説は改行すれば一気に時空を越えられる。

で,このところ考えていたのは,矢作俊彦は満州を舞台にした小説をもう少し書いておけばよかったのではないかということだ。島田一男の『幻の街』(大陸書館,2022)を読み返していて,町の出自を是とするものではないが,島田一男が満州を舞台に描いた小説を,矢作俊彦がリコンストラクションすれば面白い作品が生まれたのではないかと感じた。『百愁のキャプテン』(『アマ★カス』)が完成され,満州を舞台にした短篇シリーズが描かれることを夢見ているのだ。

6/3

気圧のせいか1時間くらい遅く出社し,発送の作業などを終えた。

慌ただしさは相変わらず,ただ,昔に比べると綱渡りがうまくなったので,なんとかやりすごせているものの,もう少し腰を据えて仕事が片づけられるとよいのだが。

長嶋茂雄さんの訃報。矢作俊彦『マイク・ハマーへ伝言』は,長嶋現役引退の日,つまり1974年10月14日の午後から明朝くらいまでを描いた作品だ。

本サイトに書きかけのままアップしてあるAnother Gameは,何度か書いたかもしれないが,昭和の終わりから平成の始めに,NECの98ラップトップ,一太郎で書いたデータがもとになっている。矢作俊彦が80年代前半のような作品を書くことをやめ,エッセイと「NAVI」の連載に活動の軸足を移していた頃のことで,私にはそれがさびしかった。

その後,週末にスタジオに入るようになったのも同じような理由で,つまりは読みたい小説,聴きたい音楽が新たに出なくなったのであれば,みずからつくり,その間隙を埋めようという動機から始まったものだ。

とはいえ,私は矢作俊彦のような文章とモチーフを持ち合わせていない。模倣して最初に書いたものが,「神様のピンチヒッター」をまねた短篇で,そのあとに手をつけたのがこの物語だった。

これも以前書いたように,森真沙子の『悪魔を憐れむ歌』を矢作俊彦風に描くという試みだった。サイトにアップしている4章の後,渋谷のタワーレコード(渋谷のセンター街の突き当りにあった頃)の向いのビルの2階だったか3階だったかにあったレコード屋(シスコかキニ―だったような気がする)にバイトする友人を訪ね,彼に亜子のところまで連れていってもらうもの合えない。その途中,暴漢に襲われたり,食品会社の常務を訪ねたりがあって,ライブ当日を迎えるという流れだった。

常務を訪ねるあたりまでは一太郎に打ち込んでいたのだけれど,当然のようにFDがクラッシュしてしまい,プリントアウトをたよりに,途中までサイトに打ち込んだものの,面倒になって,というよりはあまり面白くなくなってやめてしまった。

亡くなった上司から記者時代に聞いた,某食品会社の社長が,CMにサブリミナル効果を加えたのがばれて更迭された事件を柱のひとつにして,その背景に移民を進めようとするグループと抑えようとするグループの抗争を加え,そのあたりをただ暴露したミュージシャンが死亡した事故をめぐって物語が進むというものだったはずだ。

とにかく固有名詞を入れ込もうという意気込みはあったものの,さすがに息苦しくなってしまった。

レコード屋でのやりとりあたりまでは20年くらい前のサイトに公開していたようで,昨日,バックアップデータを確認していたら,見つかった。さすがに拙いものなので,少し手を加えて,もう少し続けてみるかもしれない。

5/5

午後から与野本町まで行く。体調を崩していた筋金入りのアマチュアミュージシャンが,数年ぶりにステージに立つと連絡があったのは1か月くらい前のことだった。

池袋で山手線の事故のアナウンスを聞きながら埼京線に乗り換える。14時過ぎに駅に着き,会場まで数分歩く。チケットを購入してホールに入ると,ちょうど彼のバンドの演奏が始まったところだった。体調不良の影響は感じられず,数年前に見たときと変わらないたたずまいに少しほっとする。

休憩時間に探し出して少し立ち話をした。血栓が飛んで梗塞を起こしてしまったのだという。気のせいかもしれないが,コロナ禍以後,梗塞を起こしたという方からの連絡はいくつかあった。先日も仕事でお世話になっている方が両肺の梗塞で入院中だと聞いたばかりだった。

何バンドかの演奏を聴いてから会場を出た。何年前かも同じようにして立ち寄った古本市場を覘く。半村良とラヴクラフトの文庫を購入して駅に戻る。遅めの昼食を日高屋で済ませる。このところ読み返していた横溝正史の『夜歩く』は半ばくらいに入り面白いところなのだけれど,あまりページが進まない。

池袋経由で事務所に戻り,少し仕事を済ませた。

5/4

八王子の古本まつりで徹と待ち合わせた。

11時半過ぎに出て,拝島経由で八王子に13時くらいは着いた。JRの改札あたりで徹と落ち合い,とりあえず古本まつりを覘く。徹に言われて気づいたのだけれど,確かに年々,参加店が減っている。それでも今どき,これだけの古本屋が揃うこと自体,なかなかすごいとは思うが。

ざっと見てから,市内の古本屋に移動する。むしくい堂さんに寄り,石牟礼道子関係の単行本を購入。レジで今年のみちくさ市の話など,毎年似たような話をしているのかもしれないが,ついつい。

佐藤書房ではウェストレイクの文庫本を買って,喫茶店で休憩。憩を覗いたものの,本当にレトロ喫茶店流行らしく入れないので,他の店を探して入った。徹に借りていた『水俣曼荼羅』のDVDを返し,あれこれと話す。

移転してかなり小さくなったまつおか書房を少し覗いてから駅前で徹とは別れた。17時に家内と待ち合わせまで古本まつりを見る。数冊購入した後,家内と落ち合う。昼食をとっていなかったのでバーゼルまで行く。

19時まで古本を見た後,夕飯用に総菜などを購入して帰宅した。

4/3

「フリースタイル」の最新号を探す。昼休み前に伊野尾書店を覗いたものの,まだ並んでいなかった。夕方に野方まで行き,はた書店に入ると2冊入っていたので1冊を購入した。数日前から探している『山谷をめぐる旅』(織田忍,新評社)は,この店ならば置いてあるだろうと思ったものの空振り。

バスで高円寺まで移動する。先にスーパーで米を買ってしまおうと思ったが,棚に2kgのものはほとんどない。無理して買うこともないと思い南口に移動する。

蟹ブックスにはあるだろうとあたりをつけたものの定休日だった。コーヒー豆専門店Cotoriに寄る。茗荷谷にあった喫茶店で飲んで以来,雑味のないペルー豆が気に入っていて,少し前に寄ったときこの店で買ったものがよかった。ブレンドとそれぞれ焙煎してもらっている間にパン屋に行く。赤い公園に関するエピソードがあるこの店のご主人が変わらずいらした。いくつか購入して戻る。

大石書店で文庫を買ってから戻る。ないだろうなあと思いながら文禄堂高円寺店を覗くと2階の棚に差してあるのを見つけた。購入し落合経由で事務所に戻った。

「フリースタイル」今号の矢作俊彦新連載第2回は,本式の連載開始。数行読むだけで満足してしまう。ただ,最後のあたりの「感心」は「関心」の変換ミスだろう。次号後篇がたのしみ。

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