颱風歌

10月12日のこと。

9時過ぎに起きた。すでに雨風をあって,当初,早めに徹の家に行き,帰ってこようなどといっていたことは,ただの戯言だったと気づく。一日,家にいるしかない。昨夜,100均で2リットル用麦茶入れを買ったので,水をためておく。同じような容器にいつくか水をつくり,風呂水も確認した。

玄関脇の傘立てをなかに入れ,ベランダのハンガーやら何やらも取り込む。テレビではすでに台風の被害が流れ始めている。

問題は妙正寺川だ。マンションの前,わが家は4階なので大丈夫だろうと思う一方,蛇行するあたりが削られるとマンションともども撃沈という,東日本大震災のときでさえ思いもしなかった事態を想像する。

午後になると,テレビ番組は台風関連ニュースに次々と切り替わっていく。家内や娘から,避難場所はどこだっけと話が出始め,でもすることは着替えと化粧。まあそうなのだろうな。すでに外には出られる様子でなくなったので,昼は昨日,家内が買ってきたもので済ませた。

娘が高校を卒業するときにもらった記念品は,手回し充電式の懐中電灯付きラジオに,携帯の充電プラグが付いたものだ。卒業時には,学校が1人ひとりに準備した避難バッグを抱えてきた。中には水に非常用食料や毛布などが入っている。いつも玄関近くに置いてあるこのバッグの中味を確認し,持って出られるようにした。そうこうするうちに夕方になった。ますます雨風は非道くなり,今から避難場所に移動しても,かえってそのほうが危ないなと思う。とはいえ,新宿区は避難勧告さえ出ていない。

同じように家内が準備していたもので夕飯を済ませて,テレビを見る。19時くらいから少し雨風はおさまり,その後,予告通り21時から30分くらい,轟音があたりに響く。台風が通過しているのだろうと,まあ,誰でもわかる感じだ。

22時を過ぎると,すっかり落ち着き,あとはいつもより静かな土曜日の夜になった。

祭の痕

原田郁子のライブが始まる頃から五月雨で入場できるようにしたようだ。断続的に数人の話し声がフロアの後ろの方に響く。ステージ上からはその様子がわからないのだろう。ときどき声が響くので気になる様子だった。と那智君が私を見つけてやってきた。

「最初から入れましたか」

経緯を説明すると,「パルコの向こう側,公園通りまで凄い列。ぼくは3時くらいまでは待つつもりだったけど,思ったより早く入れてよかった。待っている間もたのしかったし」。いつものように飄々とした様子でビールを含む。

原田郁子は,とにかくキーボードにディレイをかけてループをつくり,その上にさらに音を乗せていくのが気持ちよい。以前,World Happinessでみた宮内優里はこれをギターでやっていたんだな。後半は青葉市子とデュエットで数曲。セットチェンジせずに知久寿焼が続く。「月がみてたよ」「セシウムと少女」の他,「らんちう」,同じく青葉市子を交えて「ここはもののけ番外地」など新旧織り交ぜて。1弦がmidi経由で音源に繋がっているのか,バスドラの音のような響きがした。弾き方なのかもしれない。青葉市子は,ここまで客演で5,6曲出たのでソロは2曲くらい。リン・イーラーをゲストに一曲演奏した感じがとてもよかった。

一方,私の偏頭痛はかなりやっかいなことになっていて,久しぶりに胃がひっくり返りそうなってきた。とりあえず,休憩の間にウィルキンソンのジンジャエールを手に入れた。

踊ってばかりの国はここ1,2枚の曲を中心に6曲くらい。それまで静かだった丸山のギターがラストの“Boy”後半で炸裂。この前に見たリキッドルームのときに輪をかけてよかった。テンポは若干上げ気味で,このときだけは頭痛がスッと消えたので音楽の力はすてたものでない。まあ,すててはいないけれど。

終わったのは4時半前。再びドリンクコーナーに行き,今度はミネラルウォーターを買う。水を飲んでもほとんど吸収していない感じがする。フロアに戻り,那智君と一緒にミキサースペースの裏側あたりで少し休む。「今日の感じだと来月のライブ,よさそうじゃないですか」。そうだ。11月の鶯谷でのライブも,那智君とフロアで待ち合わせている。

ラストのGEZAN,フロアは満員になったので,最後の最後で,入場制限を緩めたのかもしれない。壁際に座って,最後まで聞こうと思ったものの,このままいてはまずいことになりそうだ。BODY ODDの途中でフロアを抜け出し,4階に続く階段のところに並んだ椅子に座る。少しして那智君が出てきてくれた。「踊ってばかりの国をみたのでいいですよ。始発出ているみたいだから帰りましょう」と,wwwxを一緒に出た。

パルコの横からセンター街に続く坂道のあちこちに,入り切れなかった人がたむろしている。午前5時の渋谷。センター街に入ってもかなりの人通りだ。フロアは人いきれで非道いことになっていたのだ。渋谷の空気を吸って,今さらながらそんなことを思う。天気予報では朝方から雨だということだったけれど,まだ降り始めていない。ただ,少し寒いだけだった。

スクランブル交差点を越え,那智君と駅前で別れた。家に着くまでに数回,胃がひっくり返りそうになった。

祭の痕

来た道を戻っていくと,至るところに人がたまっている。このあたりのクラブの入場待ち列に,全感覚祭を移動する列が重なる。そこにラグビー観戦後の固まりがぶつかる。えらい賑わいだ。

wwwx前の坂にたどり着くと,建て替え中のパルコに沿って長蛇の入場待ちの列。とりあえず待つかと思いながら,春の水戸,赤い公園のライブが頭をかすめた。大人しく入場待ちの最後尾に並んでしまったため,すでに開場し,そのまま入れる番号だったにもかかわらず,入場がかなり遅れたことだ。入口に戻ると,idチェックを済ませた者を呼び込んでいる。右手の甲に押されたスタンプを見せ,中に入る。

チケットをビールと交換してフロアに移った。まだ4割程度の入りで,ステージ右手に陣取った。那智君の姿はまだ見えない。無事入れるだろうか。DUOでidチェックしていることはメールしたものの,あの時間から動き始めるより,そのままxxxwに並んだほうがよかったかもしれない。そんなことがつらつらと過る。

wwwx1バンド目は幾何学模様。サイケデリックバンドと称されているそうだけれど,エレクトリックシタール入りのハードロックという雰囲気。フロアはかなり盛り上がっていた。

次のステージは,原田郁子から知久寿焼,青葉市子へと続く。

祭の痕

台風一過。午前中起きテレビをつけたところ,各地の河川氾濫のニュースが流れてくる。妙正寺川は幸い,溢れずに済んだ,としか言いようがない状況。夜にむけて少しだけ眠る。

15時過ぎから歯科受診。中井で遅めの昼食をとり,一度家に戻る。ニュースを見ながら少しだけ仕事。19時過ぎに家を出た。高田馬場のブックオフを覘き,春陽文庫の島田一男3冊購入。数十分時間を潰しただけ。山手線で渋谷に向かう。急遽,開催されることになった全感覚祭に出かけた。

渋谷の複数のライブハウスで23時過ぎから五月雨にスタートするこの企画が決まったのは2日前。当初予定されていた全感覚祭東京には踊ってばかりの国はあえて参加しないことになっていたため,模様眺めだった。本式の全感覚祭が台風で中止になり,渋谷の企画が案内されると,参加バンドに名を連ねていた。那智君にメールをして,とりあえずwwwxで落ち合うことになった。

wwwxには行ったことがない。ネットで確認すると昔,シネマライズがあった場所のようだ。改装中のパルコを横目に,場所を確認。台風の影響で,午後からスタートするはずだった別の企画が夕方に始まったようで,ライブハウスの外に「全感覚祭」の案内はまだ出ていない。ライブハウスのサイトも更新されていないため,少し不安になりながら,待機場所を探し始めた。

閑散とした公園通りに驚き,東武ホテル1階のプロントにおさまる。ラグビー観戦するわけはないので,テレビが映らない一角の席に案内された。生ビールのメガジョッキを勧められたものの,あとのことを考え断る。

23時過ぎに出て,wwwxの前で待つことにする。まだまだ人の出は少ない。と思ったのはまったく勘違いだったことに気づくのは数十分後のことだ。場所を2,3回変えるうちにボランティアスタッフがやってきた。ポスターを貼りなおし,楽器の搬入が始まった。場所はここで間違いないらしい。少し頭痛がしてきた。久しぶりの偏頭痛のようだけれど,あいにく常備薬をもっていない。

0時まで,あと30分くらい。全身赤づくめの着ぐるみが登場。投げ銭とグッズを交換に回り始めた。投げ銭して手拭いを首に巻いたあたりでスタッフが出てきて,idチェックを済ませてから,並んでほしいとのアナウンス。このあたりには0時過ぎまでたまらないようになっているらしい。idチェックはDUOらしいが,場所がわからない。行ってみれば,昨年LOFT一箱古本市をやった先あたりなのだけれど,とりあえず,東急本店の方に歩く。クアトロの前,というか,クアトロから下ったところまで入場待ちの列と思しき人波を目にする。まずいかもしれない。と思ったそばから,私と同じ手拭いを腕や首に巻いた人が目につき始める。慌てて,DUOに向かうと大混乱。idチェック待ちの列と入場の列が渾然となり百軒店の奥までくねっている。

最後列の看板持ちをはずす直前になんとか最後尾に並ぶ。百軒店前を2回は行き来し,DUOの前にたどり着いたと思ったら,階段で6階あたりまで一度のぼり,まだ下る。ようやくidチェックのスタンプを押してもらえたのは0時を過ぎたころだった。すでに列をつくることはできなくなり,多数の警官が取り巻き始め,解散を連呼する。といっても,集まっているわけではないのだが。

あとはライブハウスそれぞれでidチェックを受けた後,フロアに入るという話だったが,その段取りがどれくらい機能するのかわからない。那智君はidチェックを済ませただろうか?(続きます)

10/10

夕方から中野で打ち合わせ。18時過ぎに終わる。まだ雨は降っていない。サンモールの中華一番館で休憩。初めて入った。高田馬場や池袋東口の店は一時,利用していたころがある。とにかく安いのがよくも悪くも特徴の店で,ハイボール1杯110円,餃子4個,干し豆腐を頼んでも500円かからない。適正な価格範囲のなか,料理と料金を天秤にかけ,行きつけの店が決まることは少なくない。中華一番館は,適正な範囲からどうみてもはずれている。行きつけにならないのは,それが理由だろう。

サッと飲み,中野ブロードウェイを少しだけ巡る。早稲田通りに出ると小雨が降ってきた。古本案内処で新書を3冊購入し,店内をチェック。あいロードを通って新井薬師前駅に向かう。雨は小降りになってきて,少し強くなったあたりで駅よりの五差路まで辿り着く。ここからは雨避けがあるので,くぐって駅までほとんど雨に当たらずに済んだ。中井に着くと,雨は止んでいる。

今週末,徹がつくった自宅のシネマルームで,70年代のくだらない東映映画を観るはずだったのだけれど,台風直撃の予報のため,翌週に繰り延べることにした。もともとは前回の台風直撃のときに予定していたもので,呪われているのだろうか。

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