36

武満徹の「ノヴェンバー・ステップス」が絞られ,ライブが始まった。

とりあえずセットリスト。

  1. 琥珀色の街、上海蟹の朝
  2. ふたつの世界
  3. シャツを洗えば
  4. Morning Paper
  5. 大阪万博(仮)
  6. その線は水平線
  7. ソングライン
  8. Tokyo OP
  9. 風は野を越え
  10. 忘れないように
  11. どれくらいの
  12. News
  13. 宿はなし(くるりセッティング)
  14. キャメル(くるりセッティング)
  15. Tonight Is The Night
  16. スラヴ
  17. お祭りわっしょい
  18. すけべな女の子
  19. Hometown
  20. ワールズエンド・スーパーノヴァ
  21. Liberty&Gravity
  22. HOW TO GO
  23. 東京(EN1 岸田弾き語り)
  24. SAMPO(EN2)
  25. Good Times Bad Times [Led Zeppelin](EN3)
  26. Communication Breakdown [Led Zeppelin](EN4)
  27. ロックンロール (EN5)

出だしから2曲は岸田繁がハンドマイクで歌う。クリフ・アーモンドのドラムがすばらしい。4曲目で早々にこの日一度目のピーク。でかい音で,かなりフリーなアレンジで最後まで恰好よい。5曲目は新曲,寸止め感のある「惑星づくり」というか,ロックよりのフュージョンっぽい曲で,コード構成が独特だ。

その後,アルバムの曲は中野サンプラザで聴いたときよりも,さらにアレンジされていて,今回は岸田寄りで聴いたこともあるからだろうけれど,松本のギターよりも岸田の低い位置でのギターのインタープレイが見事だった。「風邪は野を越え」はサックスパートをトランペットに置き換えて演奏されてる。アルバムで一番好きな曲で,聞くたびにピンクフロイドっぽい感じがする。ねちっこいボーカルをさらにためて歌うので,後半は少しおかしくなってしまった。

くるりセッティング2曲を終え,後半は怒涛の音圧だ。「お祭りわっしょい」はかなりアレンジを変え,「すけべな女の子」はブリッツ横花で聞いて以来かもしれない。あのときはトリルをトランペットで鳴らしていたような記憶がある。とにかくまあ,縦ノリ。「ワールズエンド・スーパーノヴァ」はクリフのドラムだと,裏の拍がどうしても弱く聞こえてしまうのが残念。

「HOW TO GO」でとりあえず本編終了。アンコールはツェッペリンのカバー2曲を含む5曲。

2時間45分のライブ。以前に記したけれど,曲によってギターを持ち替えるので,どうしても曲の間が空いてしまう。曲の間なしに続けてくれれば,いうことないのだけれど。

35

定時少し過ぎに会社を出た。暑い1日で,体調はまだ本調子ではない。

池袋の立ち食い蕎麦屋でミニカレー。人身事故のため埼京線が止まっているとアナウンスが聞こえる。埼京線と湘南新宿ライン,りんかい線が相互にどう影響するかよくわからない。とりあえず湘南新宿ラインに乗る。新木場行きになっているけれど,大崎止まりになるかもしれないという。車内アナウンスで「行先を確認しています」。走りながら行先が決まる電車ってスリリングだ。

結局,大崎止まりで,りんかい線に乗り換え,予定していたくらいに東京テレポートに着く。Zepp東京まで,くるりのライブに出かけた。家内はすでにフロアに入っているようで,娘は大崎でりんかい線ではなく湘南新宿ライン快速に乗ってしまい,武蔵小杉まで飛ばされたとのこと。バスで大井町まで戻り,Zepp東京に向かっていると連絡があった。

ステージ向かって右中央,久しぶりにかなり前に陣取る。家内の位置あたりはすでに人でいっぱいのため,少し後ろ。ドリンクを交換しに行き,ビールの飲みながら開演を待つ。武満徹の曲が開演前のBGMだった。

ここ数回見たくるりのライブは,昨年のアルバム「SONGLINE」発売記念コンサート(中野サンプラザ)含めて全体,アウトロでギター弾きまくりという流れになるものだった。

でこの日も,まあ弾きまくりというか,ここ数年で一番激しい動きのライブだった。ミュージシャンがステージ上で激しく動くと,フロアもつられて動きが激しくなる。もちろん,音が伴っていなければ,ただ激しく動いても意味ないけれど。

ステージ上手に岸田,センターがファンファン,下手に佐藤,その横にサポートギターの松本,佐藤とファンファンの奥に野崎,その右隣にクリフというセッティング。上手がかなり広く空いていて,終始,岸田がその空間を縦横無尽に動き回る。フォーマルな衣装だったので,あれで半ズボンを履いていたら,まるでランドセルを忘れたアンガス・ヤングかというくらいのステージアクションだった。(つづく)

5/21

朝から雨。昼過ぎに非道くなったけれど,夕方にはおさまった。20時過ぎまで仕事。帰りに駅前の書店で,「週刊漫画アクション」を買う。「ルーザーズ」最終回。こういう表紙にすると多くの人の手にとってもらえるのだろうか。逆効果のような気がするのだけれど。ペラペラと捲りながら帰る。

先日出た河出書房新社のムックに,夏目房之介による石森章太郎へのインタビューが再掲されている(初出は海外の雑誌,国内ではファンクラブ通信に掲載されたとのこと)。そのなかで,マンガにおけるコマ割りの可能性と技術論の必要性について語っていて,具体的な内容については触れられていないものの,その指摘自体が面白い。

というのも,何人かのマンガ家を除き,コマ割りについては,この30年くらいで退化というか省みられることがなくなってしまったように感じるからだ。特に技術論については石森章太郎にまとめてほしかった。技術論がないから,マンガが容易く動員されてしまうような気がする。

自由と平等とは,よくならべてとなえられます。しかし何でも好きなころをするということと,人間はみんなおなじだということは,本来別のことです。それが自由平等というふうにつないでいうようになった理由をしらべていくと,自由の意味がわかると思うのです。

自由と平等とがむすびつけられるのは,人間のなかに強いものと弱いものとがいるからです。強い人間が自分の力にものをいわせて好き勝手なことをすると,弱い人間は迷惑をします。もっとも迷惑だと思っても,強い人間の力があまり大きいと,弱い人間は文句がいえません。文句をいったら,もっといじめられるので,だまっています。

強い人間が好き勝手なことをしたとき,こっちは迷惑をしますよと面とむかっていえるのは,ある程度の勇気と能力をもっている人間です。いまは周囲の事情で弱い人間の仲間になっていますが,事情がかわれば強い人間の仲間にはいる能力のある人間です。疎外された強者といってもいいでしょう。そういう人が弱い人間の代表になって,強い人間に弱い人間の気持を伝えます。

あなただけ好きなことをしないでください,私たちにも好きなことをさせてください,おなじ人間なのですから,と弱い人間の側から強い人間にむかっていう場合に,自由の要求と平等の要求はかさなります。

このところネットで出版社のリテラシーが問われている様子を目にすると,松田道雄のこの言葉を思い出す。

過剰

月末に裕一が来るので,学生時代の友人と集まることになった。探偵稼業の喬史は直前にならないと予定がたたない。彼以外は予定を入れてもらい7人になる。さて,もう一人くらい声をかけようかと思った。

駿崎君と最後に会ったのは4年前のことだ。児相を退職し,事務所を立ち上げるまで放浪するといっていたが,昌己にメールすると「事務所立ち上がったみたいだ」とURLが送られてきた。

駿崎君というと,1年のとき,カンニングが見つかって,単位没収という過酷な目にあったことをまず思い出す。翌年,単位がとれるというので参加した少年自然の家のボランティア研修のとき,テントとログハウスに分かれて寝床を確保した。夜の昏さにふと「黄漠奇譚みたいだなあ」とつぶやいたら,「あれとは違うだろう。でも,ああいう小説読むのか」と声がかかった。声の主が駿崎君だったはずだ。

それほど親しくはないけれど,会えば声をかけるし,学校があったのは狭い町だったので,昼食をとるため喫茶店に入れば,見かけることもあった。混雑時は同じ席に通されることだってあったはずだ。

駿崎君のように,知らないわけでなく,かといって距離感がそれほど近くない知人は歳をとってから増えるような気がする。

で,本題。駿崎君が始めたカウンセリングルームのサイトにアクセスした。何だかすごいサイトに来てしまったなあ。全体,モノトーンで統一されていて,使われている写真は4ADのジャケットみたいなものばかりだ。アクセスのページに配置された写真は,まさか本当に事務所がある場所のものではないと思うが,百歩譲っても,毒りんごを盛る老婆の住処くらいにしかみえない。

タブに「フィロソフィー」というのがあって,スピリチュアル系というかなんというか「クライアントを篩にかけてるとしか思えない」要素がてんこ盛り。対応できることが,これでもかとばかりに記されていて,読んでいるうちに他人の連想ゲームに付き合わされているような,関連妄想ってあったなとか浮かんできてしまう。

唯一まっとうであるがゆえに,もっとも違和感を覚えたのが駿崎君のプロフィールページにあしらわれた自分の写真で,昨夜,徹にサイトのURLを教えたところ,「ヴェンダースの映画みたいで感動した」と,これまた妙な返事があったのだけれど,「しかし一番驚いたのはプロフィールの写真だ。とても同級生には思えん。神足じゃねーか」とここだけ適切な返事が返ってきてホッとした。

何だかすべてが過剰なんだよな。褒め言葉ではあるんだけれど。

週末

土曜日は午前中,マンションの理事会。1時間ほどでサラッと終わる。床屋を予約し,12時半まで駅に隣接する喫茶店で待機。床屋の後,新宿に向かう。タワーレコード新宿店で踊ってばかりの国のインストアライブとサイン会。サイン会は出るつもりなかったものの,家内と娘に念を押されてしまう。

15時から40分ほど。アコースティックセッティングとは名ばかり,ドラムにタムがないくらいで,ライブハウスとほぼ変わらない音圧。大久保仁がインフルエンザのため不参加。その分を丸山康太のギターがカバーしていて,なんというかミック・ロンソンっぽいエフェクターの使い方で,これまで何度か見たライブで一番恰好よかった。ラストの“Boy”はモータウンっぽいアレンジに変わっていて,ザ・テレビジョンからザ・ジャムって感じ。

家内と吉祥寺で待ち合わせ。買い物して喫茶店で休憩し,夕飯を買って帰る。21時から「コンフィデンスマンJP運勢編」を見る。面白い。

日曜日は午後から会社。娘の内定通知の返事を茗荷谷の本局まで持っていって発送。少し戻ったカフェで昼食をとり,会社で仕事。疲れがたまっているのか16時過ぎには眠くなってきてしまう。家に戻り,20時過ぎまで眠った。家内と娘が買ってきた弁当を食べ,22時過ぎから「コンフィデンスマンJP運勢編」を見直す。娘が途中まで見ていなかったため,付き合ったものの,見返すとまあ,よくできている。

矢作俊彦『あ・じゃ・ぱん』は第一部を読み終えた。とにかく冒頭から100ページ程度のインパクトが強烈で,第二部以降は何度読んでも全体の流れが記憶に残らない。あれがこうなって,これがこうというのは覚えているものの,たとえば『マイク・ハマーへ伝言』の構成を記憶しているようには残らない。ボリュームも違うし,『あ・じゃ・ぱん』はツギハギの内容を文体の力技で一本にまとめた小説だから,記憶するのが容易ではない。

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