あらためてその事実を確信したのは,町田町蔵詩集『供花』の大座談会のラストを目にしたときだ。出席者クレジットの「山本五十六連敗」はひとつの衝撃だった。「そりゃ,イソロクやろ!」と関西弁で突っ込み入れるまでもなく,センスのよさと,常識はずれの56連敗という語彙に笑いが止まらなかった。その後,いろいろな場面で盗用させてもらったことを告白する。
さて,そこからさらに遡ること5年。4-Dのアルバムに「ヒロセ」というタイトルの曲があったことを思い出した。当時の阪神監督名がタイトルの由来だ。歌詞は「ヒロセ怒りの日」+当時の打順が連呼されるもの。音は格好いいのだが,何せ締まりのない歌詞。この組み合わせは,町蔵の「どてらい奴ら」(漢字が出ないが)で,すでに試みられていたことに気付いたのも同じ頃のことだと思う。
アメリカでは,野球というと映画と結びつくが,関西ではロックと野球の分ちがたい関係があることを確認した。
決定打は,アルケミーのオムニバス「愛欲人民十二球団」だ。登場するバンド名が,読売ジェントル・ジャイアンツ,南海ホークウインド,広島東洋カーブドエア。プログレとの相性がいいことも分かった。阪神タイガース・オブ・パンタン,ロッテオリビア・ニュートン・ジョンは,ひと捻りほしいところだ。
ノイズバンドは,カラオケボックスにおけるキャンディーズの熱唱を作品として収録してもよいことも教えられた。