BITE

オルタード・イメージの”BITE”は不思議なアルバムだ。1曲目”Bring Me Cleser”が始まると1983年の記憶が蘇る。にもかかわらず,その記憶は時間が経ってもさびることがない。

先日,昌己から「オルタード・イメージって今年新譜が出たんだな」と連絡があった。よい時代になったものだ。YouTubeで検索すると”Glitter Ball”がひっかかる。聞いてみると,ああ”BITE”の地続きでそれが2022年であることにも違和感がない。

バンシーズのファンがつくったバンドは,ツアーのオープニングアクトでまわり,1stはスティーブ・セブリンがプロデュースした曲を含む。バラエティに富む楽曲が楽しいとだけ容易くいうのはためらわれる内容だった。リリースは1981年だ。バンシーズもいたし,ケイト・ブッシュもその活動のピークに至る真っ只中にあった。

クレア・グローガンのボーカルスタイルは当初,たとえばその後,トレイシー・ウルマンのようなスタイルが一般化する先駆けのようなもので,バックのニューウェイブ然とした楽曲との違和感は独特だった。それが”BITE”では(メンバーチェンジの影響があったのだとは思うが),違和感とは異なる独自の世界(安易な表現ではあるけれど)を作り上げた。もともとこのバンド,核となるのはベーシストで,2022年の新譜では彼とのコラボレーションが2曲も含まれていて,どちらも”BITE”と地続き感はより強固な印象だ。

スージー・スーもケイト・ブッシュでさえも,2022年から遡って10数年以上,活動は減退したままのに比べると,このオルタード・イメージの39年ぶりの新譜で,地続きで2022年感を表してしまう力業に驚いてしまった。クレア・グローガンのボーカルスタイルの変わりなさはおそろしい。

コメントする

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

Top