9時少し前に事務所にくる。IHコンロにやかんをかけ,コーヒーを淹れる準備をする。アロマポットをとり,新しいロウソクに火をつけ,水を張りアロマオイルを数滴たらして,元の場所に戻す。お湯を少しずつ注ぎ,できあがったコーヒーを机にもっていく。YouTubeでラインベルト・デ・レーウ演奏のサティを流しながらメールのチェックをする。
このようなルーティンから一日も早く抜け出さなければならない。
アロマを焚くのは,排水溝から下水の臭いがあがってくるからで,それ以上の理由は何もない。洗濯機置き場にスチール製の棚を組み,そのうえにファクシミリとコピーの複合機を置いているものだから,棚のあたりの臭いが気になるのだ。
乾燥する時期には加湿器でアロマを香らせていたのだけれど,いまの時期に加湿器をつけることはない。少しずつ無印良品が事務所に浸食してくる。アルマポットは半額だったし,ろうそくは1つ4時間くらいで消えるから,つけっぱなしで火事になったりする危険性は少ない。
なんだか日々,ていねいな暮らしに浸食されているような気がするのだ。なにひとつ,ていねいな行為はないというのに。