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緊急事態宣言発出後,町に出る人がかえって増えていないか?連休の前倒しだろうかと思ったものの,通勤電車はまったく人が減らない。一年前とは雲泥の差だ。私が時差通勤していないことはさておき。

今日しか時間がないので,著者校正の戻しと,文献表記をAPA形式に手入れ。夕方に校正を戻す。その後,雑誌の作業へ。20時くらいに退社。

少し前,お世話になっている先生が伊達得夫『詩人 ユリイカ抄』(平凡社ライブラリー)をすすめるので,日本の古本屋にリーズナブルな額でアップされていた古書を購入した。島田一男ばかりではさすがに殺伐としていたこともあり,数日前から通勤途中に読み始めた。

文体がまったく古びておらず,内容も面白く読みやすい。稲垣足穂の本を引っ張り出して読み返したくなってきた。この本は,伊達の没後まとめられた遺稿集が10年後,新たに刊行されたものを親本とする。以後40年近く,新刊では読むことができなかったようだ。こんなに軋みのない本が。そのことに驚く。この平凡社ライブラリー版でさえ,いま新刊では手に入らない。10年間,本を流通させるむずかしさは,はたして容認してよいものなのだろうか。

ひそかなたのしみでかまいはしない。そのたのしみに,不特定の誰かがつながる機会が増えている気がしないのはなぜだろう。プリセット音色が多すぎるシンセサイザーのような按配が,この四半世紀続いているにもかかわらず。いや,それゆえに。

MRI

朝食をとり,内覧にでかける準備。家の近くで不動産屋と落ち合い,家内とともに部屋に入る。家内も気に入った様子。家主から事務所使用の了解を得たとのことで,とりあえず申し込みをすることにした。部屋を出るときに家主さんと会って挨拶。その後,不動産屋で書類を記入する。

家内と家の前まで戻り,私はそのまま御茶ノ水に向かう。14時過ぎからMRI検査。はじめてのことで緊張する。MRI自体は音が大きいと注意されたが,でかい音でテクノやノイズを聴くときとあまり変わらない。ときどきウルトラヴォックスのベースラインかと思うような音もした。居心地はだから悪くない。ただ,最初にラインを確保され,途中から造影剤を入れられるのだけはあまり気持ちよくなかった。

1時間ほどで終わり,駅前で昼食をとり,中野に向かう。中野ブロードウェイの古本屋で文庫本2冊を購入。エクセシオールカフェで少し休憩し,夕飯用にヤミヤミカレーでルーを3人分買って帰る。

なんだか疲れてしまう。1時間ほど眠った後,夕飯をとる。STORESに何冊か登録して0時過ぎに眠る。

MRIの検査結果をもって今週,クリニックを受診する予定だ。大勢に影響がなければ,起業やら事務所の手続き,何よりも事業計画と金策に動かなければならない。家賃は5月から発生してしまうので,今後の固定費分,手当てのめどを少しでもつけなければ。

一方,MRIの結果が芳しくなければ治療優先で,諸々先送りせざるを得ない。何らかの治療をしながら起業と事務所の手続きをすすめられるなどと自分を過信していない。決して悪くはないものの,とはいえ,無茶苦茶よい星の下に生まれたように思われないので心配なのだ。

事務所

金曜日の夜,仕事の間隙に事務所を探し,物件を検索。3月までに比べると,選択肢が広がらないどころか狭まってしまった感触。自宅近くで探してみると,数年前,リノベーションされた長屋の一角が事務所使用可で募集中となっているのを見つけた。家賃は予定していたものよりも若干高めとはいえ,歩いて数分で26平米程度の広さは,狭すぎでも広すぎでもない。本を在庫するスペースを別途探す必要があり,その分,さらに固定費がかかってくる。まあ,流通上の課題は抱えたままなので,口座を借りるかたちになったときは,倉庫分も併せて借りることになるだろう。

土曜日の午前中,内覧の依頼を出しておいた。返事がないので,家内と中野まで行くことにする。途中,物件の様子を見ると,数日前,家内が家の前を通ったときに貼ってあった「募集中」のチラシが付いていない。もう決まってしまったのかもしれないと思いながら,新井薬師まで。遅めの昼食をとっていると,不動産屋から内覧可能との連絡が入る。先日,ムックでみつけたパン屋まで家内を案内し(売り切れで閉店だった),高円寺で待ち合わせて中井まで戻る。

物件を確認。前に住んでいた方がおそろしくきれいに使っている。私とときどき家内に手伝ってもらう程度ならば,十分の広さ。会社としての登記が可能か,また,途中で借主の名義を個人から会社に変更することを了解してもらえるか,家主に確認してもらうことに。明日,家内を伴ってもう一度,くることにした。不動産屋の担当者は借主の立場よりも家主を優先するのだろうなと,何度か思った。

東中野経由で高円寺まで。MYTH CAFEで休憩。十五時の犬でウエストレイクの文庫本他2冊を購入。palまで行き薬局でマスクを探す。少し前,その店で買ったマスクが使い勝手よかったのだ。ただ,その後,なかなか入荷しないようで,今回もなかった。夕飯用にお弁当を買って帰る。

20時過ぎに帰宅。夕飯をとり,テレビを観る。

Zoom

午後にリモート会議があるため,午前中で退社。中井でカレーを食べて帰宅。会議用に部屋をセッティング。14時から会議。15時過ぎに終わる。疲れてしまい,少し横になる。起きた後,ゲラの素読み。19時過ぎに家内が帰宅。とりあえず夕飯前まで素読みを続けた。健診結果が怪しいため,健保のクリニックを受診し日曜日にMRIの予約をしたと家内に伝えた。早めに様子を確認するに越したことはない。夕飯をとり,2週間ほど立ち上げていなかったWindows10のアップデートをかかる。

『湖底の囚人』を読み終えた。犯人はそ奴でよいのかという按配。場面設定や犯行自体,なかなか魅力があるだけに,横溝正史よろしく,入れ替わり(それふうのものはあったけれど)や,もう二ひねりくらいしてもよかったのではないか。連載だったというので,最後はさっと締めくくってしまったのだろうか。

緊急事態宣言が発出されるようで,にもかかわらず町中の人出はほとんど変わりない。大塚英志のTweetが正鵠を射ているな。

今月は少しお金に余裕ができたはずが,一気にマイナスの数日をどう乗り切るか算段せざるをえなくなった。初夏をめどに自前で会社をつくる計画を詰めなければ。関係性を断絶しないよう,あれこれ調整しながらすすめてきたものの,そこは考えても仕方ないかもしれない。

索引

ほぼ一日,索引作成。ようやく終わりが見えてきた。索引をまとめ終ると,エンジンがかかってきて,にもかかわらず,すでに時間は限られている。結果,改訂のときにはここをこうすればという案を引き摺ったまま下版に至る。今回は全ページ,PDFで検索できたので,前回書いたとおり,やりやすい一方,チェックにおそろしく時間を費やすことになった。

で,20時前に退社。一日座ってモニターをにらんでいたのでふらふらしてしまう。かぜ薬を飲んだ影響もありそうだ。黄砂のせいか,花粉症のような症状がいまだ続く。

帰宅後,夕飯。娘のお店に出かけていた家内が,一緒に帰ってきた。STORESの注文を梱包して少し早めに眠る。

健康診断の再検査,遅くならないうちに出かけなければ。歳をとると,探せば粗があちこちに出てくる。子どもの頃のことを振り返ると,まったく家庭と世の中のバランスがうまくとれずにいたのだと思う。価値観の違い,多様性など,家庭では配慮する必要がなかった。子どもの幸せとはそこにあるのかもしれない。

島田一男『湖底の囚人』はいまだ,面白い。いつ,ぐずぐずになるのかたのしみにページを捲る。

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