レゲエとフィリップ・グラス

80年代のライブハウスでは,フロアの明りが落ちるまでの間,なぜかレゲエがかかっていることが多かった。

整理番号2桁で突入したはいいものの,気の抜けた(と感じられた)レゲエのリズムに拍子抜けたことも,しばしばだ。
半券を紙コップ1杯のビールに換えだらだら飲み干すと,すでに30分たっている。

レゲエが止み,フロアの明りが落ちる。すると聞こえてくるのはフィリップ・グラスの“フォトグラファー”ACT3。登りきったところで地響きのようなドラムマシンの音。P-MODELの登場だ。アドレナリンが沸騰してしまうこの光景に,何度立ち会えただろう。

今でも,“フォトグラファー”を聴くと,身の置きどころがなくなってしまう。90年早々だったろうか,CDを買ってしまった。

リハーサルに熱が入ってかどうか,開場は遅れ,開演30分遅れもめずらしくなかったP-MODELのライブでは,一度,消えた客電が再び灯ることがあった。もちろん“フォトグラファー”は鳴り止んでいる。萎えた気持を奮い立たせるために,1曲目がはじまるやいなやステージめがけて突進した。

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