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友人の家の2階だった。「クリムゾン・キングの宮殿」と「リザード」のジャケットを前に,私たちは相談していた。手にはソニーのカセットテープDUAD46分。

「こっちの2曲目から録音して」
「うん,1曲目はいいの?」
「うるさいから」

人はこのようにして選択を誤る。しかし,「21世紀に精神異常者」のフェイドアウトしたところでデッキのスイッチを押してしまい,最後の混沌が再び始まる箇所から,私のカセットテープはスタートした。「リザード」は,ボーカリストの声が14歳の私にとって,なにがしかの感興を及ぼす響きではなかったために,録音することもしなかった。友人は「貸してあげるよ」,たぶん親切心からなのだろうけれど,そう言った。

部屋には,クイーンとジャパン,キンクスのアルバムとヴァン・ヘイレンの「炎の導火線」が置かれていた。ヴァン・ヘイレンのアルバムはどこか音の深さが他のアルバムの音とは違って聞こえた。
中学2年の秋のことだ。

美術の時間に,学校裏の神社で絵を描いていると,「ウルトラマリンブルーの絵の具持ってらぁ」
彼はそうやって近づいてきた。何かウルトラマリンブルーにトラウマでも抱えているのだろうか,やけにその単語を連発するのが気になった。

はじめてその友人の家に遊びに出かけたときのことだと記憶している。

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