A LITTLE SISTER

正孝は山形生まれのはずが,やけに地下鉄の乗り換えが詳しい。日比谷線で六本木直通という謳い文句に誘われて大学を選んだようだけれど,直通1時間近くというなら日吉だって私の子どもの頃から直通だ。乗り換えの情報は得ていても,距離感は把握していなかったのだろう。

彼は勤勉だった。それは市販のアダルトノヴェルに納得いかず(決して満足せずではない),みずから筆を執ってしまうような勤勉さだ。

正孝の十八番は山形に残した妹との危うい話だったけど,傍目にもうそだなあとわかるような,それは出来だった。ラーメン食べてる小池さんのみたいな正孝の妹が松田聖子そっくりだというのも,よくわからなかった。

『ららら科學の子』を通勤途中でなんと読み終えてしまいそうな勢いというか距離になって,ふと妹を思う。
10歳違いの妹との会話は,彼と妹になんだか似ている。もはやそんな会話はしないけれど,妙な距離感がある。
家内とはそれはないものの,娘と話していると,ときどき娘なのか妹なのかわからなくなってきて,妹よりも娘のほうが私の感覚に近いので,なおさらに混乱することがある。

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