徒歩記


茗荷谷から大塚まで歩き,そのまま池袋に向かった仕事帰り。震災の日でさえ,速達を出すために池袋中央郵便局まで歩いた。よく大塚から池袋まで歩いたものだ。

20年以上前,東池袋と春日通りを挟んだあたりにオーストラリア料理専門店があった。オーストリアではない。オーストラリアだ。オーストラリア料理専門店だから,当然,ワニのステーキやハンバーグといった料理がメニューに載っている。にもかかわらず,私は東池袋で以外,もちろんオーストラリアでもワニを食べた記憶はない。

速達を出すために池袋中央郵便局まで歩くたびに,だからワニのハンバーグを思い出してしまうのは条件反射のようなものだ。

その日,明日着くかどうかとは考えず,速達を出し終えるとそのまま都電荒川線に乗り,学習院下で降りた。都電荒川線はタフだ。王子方面行きはそれでも鬼のように混 んでいた。早稲田行きは空いていた。見ず知らずのおばさんが,近所のコンビニがトイレを貸さないと愚痴るのに頷くことができるくらいだった。

明治通りを渡ったところに中華料理屋があった。満員ではなかったので,待たずに夕飯にありつくことができた。にもかかわらず,あの特殊な日に何を食べたか思い出すことはほとんどない。オーストラリアで食べた怪しげな中華料理が記憶にないのと同じように。

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