忘年会

寒くて風が強い一日。18時過ぎに事務所を出て,池袋西口の居酒屋一心へと向かう。大学時代の友人たちと忘年会だ。

地元・高知に帰り仕事をしている裕一,音信不通の徹をのぞくと,1980年代の半ばからこちら,日々連れ立ってぷらんぷらんしていた友人とこうやって年数回,飲み会をするようになったのは,数年前からだ。2000年を挟んで前後の10年くらい,パタリと連絡し合うことがなくなったのだけれど,40歳代を折り返したあたりから,あたりまえのように元に戻った。

家庭をもった30歳代は,生活に余裕がほとんどなかった。もちろん,だからどうしたというわけではない。ただ,何が中心だったのか,いつか考えてみてもよいとは思う。ここ数年とは生活の重心がどこか違っていた。

こ奴らと再び飲み始めてから当初の1,2度目は,話が昔ばなしになってしまうのが残念だった。自分の記憶にある友人たちとの会話の感触は,昔ばなしするような性質のものではまったくなかったし,だからといって,無理やり話の方向を捻じ曲げるのも,らしいことではなかった。そのときに感じた違和感を今も思い出すことができる。同じように感じていたのかもしれない。元々,別れ際はサバサバとしたものだったけれど,そのときはスッと火が消えてしまったかのような別れ方だった。

昔ばなしに終始するような間柄ではなかった。それは一時のことで,その後は,以前に比べると話の幅が広がったような感じさえする。変わりはしないけれど,それなりに成長するのだと,妙な感心のしかたをしてしまう。

1980年代の半ば,こ奴らと出会うことがなかったら,その後の自分の生活はあっけないものになっていただろうと,ときどき思う。誇れることなどほとんどないけれど,その出会いは誰に対してのものでもない,私自身にとっての誇りなのだ。20年前,小さなレストランで結婚式をあげたとき,喬史に司会を頼み,徹と昌己,和之,伸浩で打ち込み音源をカラオケに一曲歌ってもらった。15年くらい会っていなかった親戚のおじさんから「ほんとうにいい友だちに恵まれていますね」と言われたことを思い出す。

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