胃カメラ


気が重い。一度,職場に出てから,10時過ぎに出版健保に行く。先日の健康診断の結果が「再検査の必要あり」で胃カメラをのむのだ。

数年前に初めて胃カメラをのんだときは静脈経由の全身麻酔で行なった。チクリと針が刺さった後の記憶はない。気がつくと待合室の椅子に座らされていて,力が抜けていることを感じた。潰瘍はなかったもののピロリ菌がいたので抗菌薬を飲み,何とか除菌できた。

次に胃カメラをのんだのは出版健保の再検で,このときは部分麻酔で喉をチューブが入っていくのが非道くつらかった。

今回も部分麻酔だ。あのときの痛さと呼吸が不自由になりそうな感じが蘇る。ただ,引き返してもどうにもならないので,とにかく受付を済ませる。予定時間より早くついたものの,だからといって待ち時間が長くなるわけでない。第一,私のほか,誰も検査に来ていないのだ。受け付けが終わるとすぐに診察室に呼びこまれた。

着替えをして喉の奥,左右に数回,麻酔をスプレーされた。ベッドに横になり,医師からさらに数回のスプレー。マウスピースをはめられ,モニターに映るのは,口腔内をチューブが入っていく様子だった。喉頭蓋のあたりを進むときがもっとも痛い。刺激されて嚥下反射が起こる。

背中をさする看護師が「鼻から息を吸って,口から吐いて」という声が聞こえた。ほとんど出会いがしらの事故のような状況なので,前回はそのことを意識したかどうか定かでない。とりあえず,鼻から息を吸って,口から吐いてみる。おお,なんとかなりそうだ。

部分麻酔で胃カメラを受けるときのコツは,つまり「息は鼻から吸って,口から吐く」ことなのだ。

それがわかってから,なんとか滞りなく検査は済んだ。逆流性食道炎と慢性胃炎の様子はみられたものの,他は心配ないだろうとの説明を受け,職場に戻った。

今月の課題本,チャールズ・ブコウスキー『パルプ』を通勤の途中,読み進めている。これが面白くて,途中に栞を挟まずにページを捲ることにした。記憶に残っているところから続きを読むのだ。この方法だと,一度読んだところでも記憶にないところはもう一度読むことになる。つまらない本を二度読むほど馬鹿げたことはないが,幸い『パルプ』は面白い。面白い本は栞を挟まなくても不便を感じないのだ。

寝る前に山野浩一の『花と機械とゲシタルト』を読み始めた。こちらの栞を挟んでいない。昔,この小説のインサイドストーリーのような夢を見た。すっかり忘れていたけれど,BGMは,Public Image Ltd.の”Four Enclosed Walls”だった。夜。海に向けて並んだ窓を開け,ステレオセットから”Four Enclosed Walls”が鳴る。目の前の海と空の星。そして波の音。

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