間隙


開店1分前にブックオフへ行ったところ,10人ほどの開店待ちの列を見た。居心地の悪さを強烈に感じたものの,あと1分のがまんだと堪え,列に加わる。先日見たときに1,200円ほどに値が下がっていた『止まることなく』(ポール・ボウルズ)が20%オフだと1,000円を切る。ならば買っておこうと思ったのだ。本を無事入手して,会社に向かった。

昼まで仕事をして,与野本町に向かう。一昨年から毎年,知り合いの編集者に誘われているイベント「憲法フォークジャンボリー in 彩の国2017」に今年も出かけた。

与野本町に降りたのは初めて。与野の方に向かい,大きな国道沿いのファミレスようなところで昼食をとった。

さいたま市産業文化センターホールは大きすぎず,音もきれいに聴こえるホールだ。PA担当の人が,かなり神経をつかってバランスをとっているのが印象的だった。コンサートは午前中からはじまっていて,席の埋まり具合は6割くらい。回を重ねるごとに,音楽自体の聴きごたえは増してくる。

知り合いの編集者の演奏を聴き,しばらくしてから外に出た。

近くにある古本市場で,林京子『祭りの場』(講談社文庫),早川義夫『たましいの場所』(ちくま文庫)をそれぞれ80円+税で購入。駅前の居酒屋でウーロンハイとウドの酢味噌和え(計500円)をやりながら,『たましいの場所』を読み始めた。晶文社の島崎さんが編集した本だったのか。

ジャックスというと,1980年前後,甲斐よしひろが自分の番組でかなり強引に曲をかけていた印象があって,あえて聴かないでいた時期が数年ある。1970年代後半は木田高介がヒューマンズーの実質,バンマスであったり,フォークルのライブLPで加藤和彦が「遠い海に旅に出た私の恋人」や「時計をとめて」をカバーするどころか,1st ソロアルバムのバックはジャックスのメンバーが演奏していることを知ったりで,それなりに聴いてはいたのだけれど。

『たましいの場所』を読み,早川義夫は肌にあわないな,と思った。

「憲法フォークジャンボリー in 彩の国2017」は,昨年以上にいろいろ考えながら会場にいた。それはある表現者(演奏する人たちのこと)が「インターナショナル」を歌ったときのことだ。フロアからオゥという歓声とともに数人が立ち上がる。腰にあてた手で4拍子のリズムをとりながら一緒に歌う。そのときに感じたいたたまれなさは,その前後に感じた居心地の悪さと,少し質の違うものだった。

意見の違うもの同士が同じ場所にいて,オセロゲームのように,すべてがこちら側/あちら側に変わらないと折り合いがつけられないような主張のしかたに,このところ考え込んでしまうことしばしばだった。

それは51対49で優勢になり,ものごとをすすめていくときの間隙のつくりかたのようなもので,51が100になるのではないはずなんだけれど,と考え込む。49の居場所,違う考えを51はどう位置づけられるのか。一度,49になったら最後,これまでのあれやこれやまで否定されてしまうかのような言説は,それがたとえまっとうな意見であったとしても肯首しかねる。

話はそれ以前だということなのだろうけれど,その間隙の狭さ加減が,結局,51を得る壁になっているのではないか,と。

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