不眠の経験がほとんどない。眠りの浅さからなのか,日々睡魔と闘っているような按配だ。
ところが,ここ数日,計算してみたら,毎日12時間以上眠っていたものだから,さすがに眠気がやってこない。しかたないので,今年のベスト本を何にしようか考えてみた。
絲山秋子の『夢も見ずに眠った。』もしくは『絲的ココロエ』が浮かびそうなはずが,宮内悠介の『遠い他国でひょんと死ぬるや』かなあとなる。ベスト本の紹介文に考えが移る。宮内悠介はいつか,とてつもない小説を書くに違いないと思いながら,なかなかこれだと思える作品が出てこない。本作は第1章を読んだとき,もしかしたらこれこそ,と思ったが,その後,アイディアを盛り込み過ぎてしまい,行間を書く(変な表現だけど)時間がとれないまま,刊行してしまったような感じを受けた。『エクソダツ症候群』は,反精神医学を絡めたあたりは面白かったなあ,と連想は続き,とはいえ,山野浩一の『花と機械とゲシタルト』には及ばなかった,ここで宮内悠介のことが眠れない頭から離れた。
『花と機械とゲシタルト』と比べるなら望月ミネタロウの『東京怪童』だろう,ということで,眠れない頭は望月ミネタロウのマンガに移る。どうしたわけか望月ミネタロウに『東京怪童』についてインタビューするとしたら,どんなことを尋ねるだろう,魅力的ではあるが眠れないときに考えると,さらに眠れなくなるに違いない問いがもたげてくる。
『東京怪童』と『ちいさこべえ』はある種,地続きだ。その前は『万祝』があって,その前にええと『ドラゴンヘッド』があった。『バタアシ金魚』から『バイクメ~~~ン』,『お茶の間』の流れのなかで,続く『ドラゴンヘッド』の異質さを不思議に感じていた。思えば,その後,このマンガの劣化コピーを大挙発生させたインパクトは否定できないけれど,望月ミネタロウが描かなくてもよかったのではないか。眠れない頭でそんなことを考えた。
その後,連想はガラリと変わって,そうこうしているうちに何とか眠りについた。