会社帰りに昌己と飲むことになった。駅前のタイ料理屋に久しぶりに入る。メニュー以外に，手作りのソーセージができあがったところだというので頼み，ソフトシェルクラブを卵とカレーで炒めたものを追加した。
ソーセージは美味く，酒が進む。しばらくしてソフトシェルクラブがきたのでつまみ始めたところ，「おれ，しめじアレルギーだったんだ」と昌己はいう。玉ねぎ，にんじんなどと一緒になって炒められたしめじを避けて食べ始める。
事の起こりは少し前のこと。酒の席を終えると，お腹の調子が悪くなることが続いたという。もともと酒は強いし，健康診断で注意されてから，食べ物にはそれなりに注意を払っている。それまで似たような症状を感じたことはなかった。何のせいだろう。
直近，数回の酒の席でつまんだものを思い浮かべる。野菜はどこでも出てくるし，酒の席でなくとも口にするので除外した。ただ，玉ねぎはあやしいかもしれない。この前は鍋をつまんだ。その後に調子が悪くなったのだ。
高田馬場のタイ料理屋に入った後，同じような症状が起きた。カオマンガイにガバオ……。もしかしたら，しめじかもしれない。再び同じ店に入ったとき，ガバオからしめじを抜いてつくってほしい，と話そうとしたものの，そんな込み入ったタイの言葉を話せるはずはない。身振り手振りでどうにか了解を得て，きのこ抜きのガバオを食べてみた。お腹の調子は変わらない。やはり，原因はしめじか。
以来，しめじに注意しながら酒を飲んでいるのだそうだ。しめじアレルギーって初めて聞いた。
