シン・仮面ライダー

Amazonプライムで「シン・仮面ライダー」が見られるようになったので早速,アクセスしてみた。

仮面ライダーはもともと,逃亡者モノとしてスタートしたと読んだことがある。だとすると,物語を求心していくのは真実,なぜ,主人公は逃げざるを得ないのか,また本当の犯人を見つけ出すところにできてくるはずだ。これはサイボーグ009も同じで,にもかかわらず石森章太郎のマンガでは,犯人をやっつけるところに話をもっていく。仮面ライダーもサイボーグ009も物語の構成としてはいびつな形で,にもかかわらず,それをアクションとして描き切ってしまえるところに石森章太郎のすごさがある。

「シン・仮面ライダー」は石ノ森章太郎のマンガを柱に,テレビドラマの意匠をまとわせてまとめたように感じた。

リアリティというやっかいな問題は,たとえばマジンガーZと機動戦士ガンダムとの対比を経て,大友克洋による設計至上主義というかたちで1980年代に線引きがあった。ただし,それを大友克洋自身が作品によって広げていくことができずにドラッグと超能力を糊塗して引き延ばしていくしかなかった。だからその後,リアリティとはドラッグと超能力をいかに描くかの代名詞のように扱われるようになったのではないか。

仮面ライダーにドラッグと超能力の様子はほとんど含まれていなかった。それが1980年代の仮面ライダーblackによって超能力が含まれるようになり,オリジナルドラマでドラッグの要素も加味された。

「シン・仮面ライダー」で,悪=逃亡者の真実をどのように描くか,またリアリティの問題をどのようにクリアするか,もちろん,その前に物語をどのように進めるか,これらを考えることはとてもたのしいものだっただろう。

仮面ライダーの「ライダーキック」という必殺技を立ち止まって考えると,どのような原理で敵がやられるのかよくわからない。「シン・仮面ライダー」における「ライダーキック」は敵を壁や大地まで引っ張り押しつぶすための方法としてとらえられる。これは,「童夢」における超能力を援用したものだと思う。「シン・仮面ライダー」を見て,ライダーキックの解釈がとても新鮮だったのだ。

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