矢作俊彦に関するサイトの更新があまり進んでいない。ここ数年は”What’s new”をアップデートしているくらいだ。
『ららら科學の子』が刊行された当時,文芸誌に掲載された何本かの対談を読み返していた。久間十義,高橋源一郎,石丸元章との対談あたり。久間十義との対談での発言から,傑に関するページをつくりたくなった。
映画「ザ・ギャンブラー」の主人公が傑であったことからも刺激を受けた。
流れとしてはこんな感じになるのではないだろうか。「レイン・ブロウカー」のJRに傑は登場する。ここでのJを傑,Rを翎として両義的なキャラクターとして想像してみる。デビュー作から登場する翎はこの作品で命を落とす(実際には「言い出しかねて」で死に,その後,『マイク・ハマーへ伝言』に登場するのだけれど)。
Jは「レイン・ブロウカー」発表後,マンガ『ハード・オン』で両性的なキャラクターとして描かれる。『死ぬには手頃な日』に収められたいくつかの短篇のなかに傑のイメージは投影されているかもしれない。
1988年,「歴史読本臨時増刊」に「東京カウボーイ」として書き始められた連作は,「すばる」に続き,単行本『東京カウボーイ』(1992年)としてまとまる(連作のうち,「ジャップ・ザ・リッパー」の初出だけはわからない。小説だから,この作品の最後で傑は生き延びたはずだ)。
同じ1992年,映画「ザ・ギャンブラー」の主役として傑は現れる。
1994年,「犬には普通のこと」に再び登場し,この作品(休載)で,マンガ『サムライ・ノングラータ』と似た時間軸の中に置かれる。『ポルノグラフィア』に登場した(はずの)傑も,パリでの物語だったように記憶している。
1997年,「ららら科學の子」の連載が始まり,傑は東京に戻ってくる。2003年,『ららら科學の子』がまとまり,その勢いで雑誌「enzine」誌上で「引擎 engine」が連載され,2011年単行化された。この作品における凶手が現時点で傑の物語の最新形ではないか,という流れを,そろそろまとめたいのだ。
この間,数回で休載になったマンガ「東京カウボーイ」もあり,何はともあれ,傑の道筋を押さえておきたくなった。
ということを以前,書いたような気がするが。