どんぐり姉妹

実家に行き,ビールを飲みながら夕飯を食べ,書棚から北杜夫の古い文庫本を数冊取り出し,少し読んで眠る。 今朝は6時くらいから父親が起きだしたので,7時前に布団を畳む。昨夕買ってきた食パンとコーヒー,残り物のサラダにヨーグル...

ちいさこべえ

講談社以外から新作が出ることを想像していなかったので,望月ミネタロウの『ちいさこべえ』第1巻を今頃,購入した。 小学館の本に見えない,というのが,内容前にまず感じた印象。『BILLY BAT』の第1巻を見たときに,まった...

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 七月も半ばだというのに低く垂れ込めた雲が空を覆っている。天気予報は“梅雨明けは平年より遅れるでしょう”と,今年何度目かのアナウンスを繰り返して いた。微かに顔を覗かせる夏の気配は,晴れやかな女性の二の腕と,行くあてのな...

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 気まずい沈黙が,無粋なBGMを頭のなかから追い出した。 「お知り合いですか?」 男が尋ねる。柑橘系のヘア・トニックが匂い,黒のプレーントゥが一歩踏み出した。 「大学のときに。よく知っていますよ,あ奴のことは」 「面白い...

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 「昼間からバァで酒を飲んでいられる余裕があったなんて,想像もしてなかった」 「今夜のギグまで六時間もあるんだ。ジントニック三杯くらいなら,すぐに抜けるさ」 「なるほど。アルコールが入っていないと自分の演奏に自信が持てな...

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