KEY

新井薬師のアパートに住んでいたときのこと。西新宿から自転車で帰ってきたはよいものの,家の鍵をどこかに落としてしまった。合鍵を戸外に忍ばせておくなど,ばからしいと思っていた頃のことなので,鍵を失くしてはどうにも家に入れない。

結局,夜遅くに錠前屋を呼び,ドアに穴をあけ鍵を壊してもらった。

引越しのときまで,鍵を壊して変えたことを家主に伝えなかったので,えらく嫌味を言われた記憶がある。

会社帰りに印西の実家へと出かけたものの,駅についたところで,鍵を携えてこなかったことに気づく。どうして,このタイミングで気づくのだろう。
妹に連絡して,義理の弟に鍵を届けてもらうことになった。マンションの前で小一時間,京成高砂の古本屋で買った『危ない世界の歩き方』を読み終えてしまった。

仕事が片付かないので,午前中から事務所に向かうと,事務所の扉の前で,鍵をもってこなかったことに気づく。どうして,このタイミングで気づくのだろうと,2日前の夜思ったことが懐かしい。
家に電話するものの,到底,事務所までもってきてもらえそうにない。しかたなく,地元の駅の改札まで娘に届けてもらうことになった。

午後早めに仕事を片付け,久しぶりにジムに出かけようという予定は予定倒れに。結局,19時過ぎまで仕事して戻ってきた。鍵を取りに行く電車のなかで,京成高砂の古本屋で買った『酒中日記』(中公文庫)を読み終えてしまった。10年くらい前,矢作俊彦が短編を何作か「小説現代」に発表した当時,このリレー連載を書いた号があるはずなのだけれど,記録していなかったので,どんな内容かもすっかり忘れてしまった。

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