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4曲目“ロックンロール・ハネムーン ”。先のiTunes限定シングルのときは,音の弱さを感じたものの,アルバムではとてもいい感じにまとまっている。このリズムってマーチよりウエスタンっぽいなとふと思った途端,ならばYMOの“Ballet”もウエスタンか??  それが新鮮だった。

5曲目“Liberty&Gravity ”。ライブで何回か聴いたときの印象はフォークルの“コブのない駱駝”。繰り返し聴くほどに味が出てくるというか,構成を記憶にとどめたくなる。今回のアルバム全体に感じたのは,点描を拡大してそこに自然と注意を向けてしまうような音の構成の妙だと思う。
点描画は,もちろん全体を見せるための手法をいうわけで,そのまま音楽に置き換えるとスティーブ・ライヒのミニマル音楽や新生King Crimsonの中心となる曲だろう。
しかし,点描画もライヒもKing Crimsonも,拡大して構成の妙を目的に作品が生み出されているわけではない。今回のアルバムが奇矯なのは,だから点描画的なアプローチで,ミュージックコンクレートやサンプリングと同等の面白さを盛り込むことが意図的に試みられているからだろう。

6曲目“しゃぼんがぼんぼん”。“日本海”と同じく,「なう」という歌詞が,オノマトペのように用いられているのが面白い。小説では昔からオノマトペを用いた文章が稚拙だとされることがあって,夢野久作やたぶん宮沢賢治も,辛辣に批評されたはず。
でも,「なう」に,「なう」にさえ,なにがしかの情感を封じ込められることは発見。

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