土曜日の読書会は,テーマがジョセフ・ヘラーの『キャッチ=22』(ハヤカワ文庫)なので,読み進めている。
少し前に数ページ捲って,若いときに読んでおきたかったというのが第一印象だった。辛辣な箇所を暗記しておいて,何かのときに使う。そんなネタの宝庫だ。しかし50歳を過ぎ,これだけのネタを今後,使う場面がどれくらいあるだろうか。それ以前に,暗記するにも膨大な分量なのでへこたれてしまいそうだ。
医療と戦争の親和性について,手塚治虫の『火の鳥』後半に登場する八百比丘尼を思い出す。ナイチンゲールのクリミヤ戦争だってそうだ。『キャッチ=22』を読みながら,そのことを思う。疾病・障害などと兵役免除は長い間,つながってきた。逆にいうと,疾病・障害からの復帰は兵役につくこととイコールだった時期が長く,医療技術は兵士の確保に大きくかかわってきた側面がある。端的にいってしまえば医療,リハビリテーションなどは戦争のなかで発展してきた技術なのだ。
このドタバタ小説の,というよりも戦争のなかでの医療に関する最大の逆説は「治して死地に赴かせること」に尽きるかもしれない。