島田一男と1960年代

連休を控え,校正が出て,原稿が届き,テープ起こしデータはまだ手元にあり,著者校正発送の準備に追われている。カレンダーに進行予定を入れ込むと,一日の予定がすべて表示されないくらいの量になってしまった。好むと好まざるとにかかわらず,西川きよしを思い出してしまう。

20時過ぎまで著者校正の準備に追われ,家で食事をした後,少しiMac(当然G4)を使ってみた。キーボードがWindows仕様なので,かな/アルファベット切り替えが今のところ,面倒だ。

島田一男の推理小説は,事件記者もの以外,これまでほとんど読んだことがなかった。事件記者と銀座特信局シリーズだけでも春陽文庫には数十冊のリストがある。はじめは面白いものの,構成は同じパターンの繰り返しに近いので,飽きてくる。部長刑事とか鉄道公安官とか,他のシリーズを読まなかったのは,手を出す前に飽きてしまうからだ。テレビで樋口可南子主演の「女捜査官」が始まったときに読むきっかけはあったものの,あまりに暗いドラマで原作をとる気持ちになれなかった。

この前,買った鉄道公安官シリーズ『黒い時刻表』を読んだところ,パターンは事件記者シリーズとほとんど同じ。鉄道ネタと観光地ネタが意図的に盛り込まられているのが特長といえなくもない。トリックのバリエーションはあまりなく,にもかかわらず,読めてしまうのは文体と,当時の社会風俗描写の面白さからだろう。人の動きと最後のドタバタを加えて,数十ページの推理小説をまとめてしまう発明だけは評価されてよいと思う。

特に社会風俗描写については,そこだけ拾い出して解説を付けただけでも,とても面白い本ができそうな気がする。『黒い時刻表』でも,指宿温泉とジャングル風呂の描写があり,ついて検索してしまった。「島田一男と1960年代」という企画ならば,松本清張の昭和30年代よりも,面白い内容になるのではないか。

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