1 Yen

昼に駅前の書店で「新潮」7月号を手に入れた。もちろん会計前に,矢作俊彦の「ビッグ・スヌーズ」のページが確実に存在することは確かめた。昼食をとりながら読み進める。

20時過ぎに会社を出て,池袋のパブで休憩。暑くなってきたので白ワインをグラスで注文した。Suicaで支払うつもりだったが,iPhone Suicaには228円しかチャージされていない。物理的Suicaにもう少しチャージがあるだろうと思い,そちらを乗せると,300円ちょっとしか入っていなかったようだ。キャッシュディスペンサーから引き落とししていないので,財布には10円玉が10枚くらいに5円,1円が見える程度。不足金額は,ざっと勘定した小銭で間に合うだろうと思い,「不足分は現金で」と言ってしまった。やおら小銭を勘定すると,1円足りない。

1円。鞄のなかをざっとまさぐったものの,小銭が落ちている感じはない。それにしても1円だ。50歳過ぎて,420円の白ワインを頼んで,手持ちの金が1円足りないというのはさすがにまずいだろう。

Pasmoにはもう少しチャージが入っているが,理由はわからないが他のカードは使えないのだという。まあ,現金で支払うと言ってしまったし。しょうがない,改札を抜けてお金をお金を引き出してくるしかないか(1円足りないがために)と妙におかしくなってきそうなところで,次に並んでいる人が1円玉を放り出してくれた。なんだか恰好よいなあ。1円だけれど,その1円を生み出せなかった身にしてみると,ありがたいし,恰好よく見える。

ああいう大人になりたいものだ。大人になりたいなど,50歳折り返し間際で言うことじゃない。いや,その前に420円の白ワインを飲むのに,1円足りないような懐具合で町中を歩いていけないな。

家に帰り,「ビッグ・スヌーズ」第6回をゆっくり読み進めた。2ページ目なんて10分くらいかけて読んでも時間が足りない,そういう読み方だって可能だ。前回登場したばかりの細飼は,ふるくからの知り合いのように二村を「先輩」と呼び,掛け合い漫才を演じるが,距離のとりかたにべたつきがない。

読み終えて,結局,第1回から通して読み始めるのだ。

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