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八王子から中央線特快に乗り込み,立川あたりから眠ってしまった。

起きたのは中野のホームに着いたときだった。飛び降りて,中野サンプラザに向かう。初めてサンプラザでコンサートを見たのはコクトー・ツインズだったと思う。夏休みの終わり,しばらくぶりで会った喬史と裕一が,すっかり(今でいうところの)ネットワークビジネスに嵌ってしまったときのことは何度か書いた。

小原礼の1stソロ発売のときのコンサートも中野サンプラザだった。誰もが加藤和彦,高橋幸宏,高中正義のゲスト(当初,シークレット扱いだったような記憶がある)しか期待していない空気が初手から漂う,みょうなコンサートだった。裕一と二人だけで行ったコンサートって,このときしかないんじゃないだろうか。

King Crimsonのコンサートにも行った。すっかり忘れてしまった諸々のバンドを観たこのホールがしばらく後,取り壊されることになっているという。くるりの”The Pier”リリース直後のコンサートに来たのが最後だったはず。

“SONGLINE”をリリース後,音博に続いて,くるりを観た。

席は2階で,家内と娘は最初,不満だったようだけれど,サンプラザは奥行が狭いので,2階でもそれほど見づらくない。同じく奥行が狭い新木場のSTUDIO COARSTに初めて行ったとき,サンプラザを思い出した。もちろんこちらはライブハウスだけれど。

まるで平沢のライブを観ているかような,出だしの仕込のフリーズと,続くフロアの苦笑。メンバーが登場して,ゆるい感じで始まった。

サポート楽器は音博と同じで,バイオリンだけ他の人に代わっていた。

1曲目は「その線は水平線」。リリースされたときは,オーラスに鳴るのが嵌る感じを受けたけれど,音博といい,この曲からコンサートが始まるのはなかなかカッコよい。前回のサンプラザよろしく,その後もアルバムの曲順で,結果,全曲を演奏仕切った。

BPMの早い曲が入っているわけでも,キャッチーな曲が収められているわけでもない今回のアルバムを,かなりの熱量で演奏していく。音博で演奏されなかった「風は野を越え」に,やはり,くるりの新しい面を感じた。プログレバンドのアルバムにぽつんと入ったブルース(プログレバンドにしては)という感じがする。

で,この後,どうなるのか岸田繁のMCに耳を傾けると,全曲演奏後「地味なアルバムになったのが俺のせいみたいやけど」と自虐的なところから入る。というのも,前回もそうだったけれど,サンプラザということで,客席がいつもより遥かに静かなのだ。

「みんなの知らん曲を今日は演奏しようかと。『坩堝の電圧』という,メンバーはたくさん入って出て行ってしまったアルバムがあって,あのメンバーがいないとできないこともあり,ライブで演奏してこなかったのだけれど,そこからやります」

私も娘も『坩堝の電圧』はかなり好きなアルバムだ。独特の感触をもっていると思う。始まったのは「Falling」。80年代ニューウエィヴ感あふれる曲だ。ライブで聴いたのは横浜BLITZ以来だと思う。「Liverty and Gravity」を挟んで「Chill Pepper Japonese」「taurus」と続く。(つづきます)

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