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雨。少し寒い。17時前に仕事を終える。シチュエーションによっては7割くらいCOVID-19前に戻った様子。意外に人ごみが生まれないのは山手線と地下鉄。高田馬場で降り,日高屋で少し休憩して『避暑地の猫』を読む。ブックオフに寄り,帰宅。Amazonを通して少しだけサポートした件,ていねいにお礼のハガキをいただく。1時間ほど眠る。夕飯をとり「刑事コロンボ」を観ながら,この前,駅前の喫茶店で買ってきたシグリを淹れる。癖がなくバランスのとれた豆と言われたものの,焙煎のためなのか苦味に少し癖がある気がする。布団に入り,『避暑地の猫』を読み終えた。寝る前に読み終えるべきでなかった。

1980年代前半というか,昭和50年代の終わりと言ったほうがすっきりするのか。とにかくそのあたりに一時,ゴシックロマンブームがあったのではなかったか。アーサー・マッケンの『夢の丘』が創元文庫に入ったのが1984年だというから,たぶんその頃だ。

日野啓三の『抱擁』が1982年,新井素子の『あなたにここにいて欲しい』が1984年。大瀧啓裕が後期ディックとラヴクラフトを強引につなげてしまうかのような仕事をしていた影響かもしれない。そうした小説は脈々と書き継がれてきた気もするとはいえ,狂気とゴシックロマンを融合させた印象的な小説が,この時期にやたらと登場した。

少し前,中井英夫が『光のアダム』で大失敗したにもかかわらず,もしかすると,失敗したそのことが数年後の流行に火をつけたような気もする。

一方で,半村良や平井和正を緒とする伝奇小説が流行した。斯界への影響力としては伝奇小説のほうが遥かに大きく,それゆえ後に何も残さず,きれいさっぱり消えた。ではゴシックロマンは何かをのこしたのだろうかと思いめぐらすと,レイモンド・チャンドラーが書き残したゴシックロマンともいえる小説が,昭和60年前後,村上春樹と矢作俊彦によって書かれたのではないかと仮定してみたくなる。村上春樹の『羊をめぐる冒険』,矢作俊彦の『WRONG GOOD-BYE/ロング・グッドバイ』『ららら科學の子』とそれに先立つ短編「さめる熱 さめない夢」あたりにみられるゴシックロマン小説のタッチだ。先にあげた矢作俊彦の長編は,どちらも21世紀に入ってから発表されたものとはいえ。(つづく)

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