カリッ

一連のエントリーに何度が記した地元にあった青果店の話。娘が保育園の頃,迎えの帰りに家内と2人,立ち寄るようになった。元はといえば,私が会社帰りに桃を買ったことだったはず。その桃は固いもので,関東に生まれ育った身には,これまで遭遇したことがないものだった。カリッとしたその桃が美味しくて,青果店のおじさんの目利き具合を実感した。

10年位前,おじさんの闘病とともに店が畳まれた。カリッとした桃は,だからそれ以後,都内で見かけたことがない。

一日遅れで家内の誕生日の食事を吉祥寺でとった。18時に待ち合わせだったので,少し前に着き,線路際を新宿方面に戻る。懐鮮食堂はビルに2階にある。まだ休憩中のところをうかがい,1時間後に予約がとれた。

古本屋を少し覘き,アトレに向かう。家内,娘と落ち合った。少し買い物をして,レストランに向かう。ランチのプチコースがディナーでも選べるというので,そちらを頼んだものの,手のかかった料理の数々。前菜の一皿に5品近くが鮮やかに盛りつけられている。パルマ産の生ハムを贅沢に厚く切り落とし,桃と合わせてあった。フォークを寄せて口に入れるとカリッという音がした。

スープ,メインの鯛のパイ包み焼き,デザートまで,しっかりと料理された皿が次々に提供され,すっかり満足した。会計を済ませると,シェフが送りに出てくださる。そこで,地元の青果店の話をした。こちらの店では奥さんの実家が山梨だそうで,桃の季節になると,カリッとした桃を実家まで調達に行かれるそうだ。シーズンも終わりだし,どうぞと桃を2個包んで持たせてくださった。

とても気持ちよく帰路についた。家に戻ると「刑事コロンボ」の「別れのワイン」が。これ,たぶん,放送されたとき,カセットで音だけ録音したのだ。見ながら,後半の名場面の音が記憶のなかで蘇ってきた。

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