10/8

午前中,事務所に出て少し作業の整理をする。久しぶりにカートを引っ張り出し茗荷谷まで。注文の本を探すものの,見当たらない。しかたなく必要なものをカートに載せて事務所まで戻る。踏切の向こうの2階にある居酒屋で遅めの昼食。揚げ物でかなり重い。帰宅して原稿整理。

「ビッグ・スヌーズ」を読み,今年に入って切り取っていなかった号を引っ張り出してまとめる。数号抜けているものの,すべて買って読んでいるので足りない号はあとで探すことにする。

で,1号分だけ読んでも面白いというのはどういうわけだろう。全体の謎がある程度解決してほしいという希望はあるものの,謎解きとはまったく違うパースペクティブで,まるでよくできた短編小説を読むかのように,毎号,文字を追っているだけで面白くなってくる。埴谷雄高が山口泉の本のなかで,小説の良し悪しは,パッと開いたところから読み始めて,どれくらい進むことができるかで判断できると言っていたことを思い出す。ドストエフスキーと夢野久作を対比して,後者は前者に比べ,読み進めるページが少ないというようなことを言ったのではなかっただろうか。これに倣えば,「ビッグ・スヌーズ」は連載半ばの1回分を読むだけであっても面白い小説だ。

半世紀近く小説を書いてきた作家が現在にピークをもってくることの驚き,ではなく,そのことに納得してしまう。

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