ZCON

インタラクティブライブとは「正解にたどりつく」ことが花粉のようにつきまとうライブだ。最低のバッドエンドとそれにつらなるいくつかのクラスター,そして成功が用意されている。ゲームのようなそれは成功をめざしてスタートする。

ただし,最低のバッドエンドであろうと成功であろうと,観客が支払う対価は違わない。リセットはできない。たとえ最低のバッドエンドであろうと,だから演奏される(お膳立てされる)曲は成功とそれほど違わない。成功だと音楽の質が異なったり,曲目が大幅に増えたり,そんなふうに差別化されていることはないようだ。

なにせ私はそこで演奏される(お膳立てされる)曲のほとんどを初めて聞くようなものだ。成功をみたいという動機付けに乏しい。加えて,最後の分岐など,客席で聞く拍手の音と画面に表示される拍手のパーセンテージは逆のように聞こえたので,ある程度恣意的に航路をとることが可能ではないかと思いもした。

先に書いたとおり,物語はFEAR’S BRAVOと地続きのようだ。平沢のSNSに感じた,天秤から降りたところで善悪や正誤の価値観を持ち込む徒労を繰り返すようなことはなされていない。そのことにホッとした自分が居心地悪い。

2月にくるりのライブを観た場所だったので音の良さは確認済だった。ただ,この広い空間で鳴らすにはもう少し音源に手を入れたほうがよかったのではないだろうか。というよりも元の曲に差異化が乏しいという感じがした。さらに演奏する曲を広げたほうがよかったようにも思った。

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