別冊

『別冊文藝 総特集 望月ミネタロウ』を購入してから繰り返しページを捲る。

うまくいかないことが続いたとき,手にとってしまうのだろうなあと思いながら,この12月は何度も読み返した。

1964年の早生まれで横浜市生まれと書かれてあって,ほど同じ世代だと今更ながらに気づいた。『バタアシ金魚』を発見したのは徹で,感化された彼は夏休み明けに頭を坊主にしてきた。大中で手に入れた人民服に帽子をかぶり坊主頭。校門のところでしばらくぶりに徹と会った五ノ井君は徹の姿をみて,ただただ「ぼ,ぼ,ぼ」と発することしかできなかった。そんなことを思い出した。

望月ミネタロウのマンガをだから,われわれは40年近く読んできたことになる。カオルの社会人生活が描かれた『お茶の間』を国分寺からほんやら洞方面に下り,東経大を過ぎたあたりに引っ込んでいた徹のアパートで読んだ。『バイクメ~~~ン』のファッツじゃないものの,高田馬場のスミスの店主に「『バイクメ~~~ン』のファッツみたいですね」と失礼なことを言ってしまった記憶も蘇る。

『ドラゴンヘッド』はさらりと,『万祝』の振り切り方は『バタアシ金魚』とは違うものの,2000年代の居心地の悪さが乗り移ったかのように思えた。

『東京怪童』から先は,もはやページを捲るごとに,コマ割りと線で構成された絵を眺めるだけで満足してしまう。『東京怪童』の描写は,大友克洋が『童夢』で描いた消防士の目線という発見をさらに押し進めたもので,ただただ読むのが楽しかった。

『ちいさこべえ』については,一連のエントリのなかで何度か触れたように思う。

 

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