女性性

思いつたので忘れないうちに。

数年前,フェミニズムに関する本を編集した流れで,著者のインタビューをとったときのこと。「女性性とはなにかが掘り起こされていない」ことにより,ケアとフェミニズムの関係がややこしいことになっているのではないかという発言があった。

正義の倫理とケアの倫理の対比から始めて,ネガティブケイパビリティとケアあたりまではなんとか整理がついたものの,いや,整理をつけるからやっかいなことになるのだ。

ケアという気配が,その場をもちこたえることに軸足を置くとすれば,その気配は,解決したり断定したりすることを一義的な目的とはしない。断定したり解決することとケアという気配は質がまったく異なるということ。

女性であれば女性性をだれでもがもっているという誤謬を持ち出す必要もなく,ケア=もちこたえることは,性別を問わず,もちこたえようとするところに生まれる。と,まずはしてみる。

たぶん,口が重たい人の言葉や,文脈を整理すると意味のある内容がまとまらない人の言葉が社会的な力をもたなければ,女性性という価値をつまびらかにすることはできないのではないか。

女性性が優位となる社会,女性性が一般化された社会とは,正義の倫理からみると,あれやこれや解決して判断したくなる状況が目につくだけかもしれないが,そこに生まれることが社会に容認されるならば,それはなんとすてきなことだろう,と思うのだ。

このところ

1冊の雑誌を10日くらいで校正,下版までもっていくのが通常になりつつある。いきおい,慌ただしさだけで一日が終わることしばしばだ。

10月上旬,家内と娘がTDLに出かけた。帰ってきてから家内が風邪気味で,回復まで1週間近くかかった。新型コロナ感染が流行する2か月くらい前に,どうしたわけか似たような症状だったこともあるので,今回も今後,38℃台の熱形が続き,最初は鼻水,そのあと咳という症状の感染症が流行りはしないか気になる。

11月のみちくさ市に出店することができる。たまりにたまった島田一男の文庫から最低でも10冊くらいを並べる予定だが,売れないのだろうな。

書き留めておかないと,結局,どのようなことがあったか忘れてしまう。

Windows Update

このところ何も問題が起きなかったので,月末にWindows Updateをかけてしまった。更新自体はすぐに終わったものの,そこからが難儀なことになってしまう。

再起動すると

  • ネットの検索ができない
  • SNSに貼り付けてある画像が見えない
  • プリンタを認識しない
  • さらにWindows Updateをかけようとするがつながらない(これが致命的)

といった症状が発生した。

決算後の処理などが続く時期のため,手元のパソコンの不具合は何とかしなければ。

とりあえず更新データをアンインストールする。同じ日に複数のアップデートがあったようなのだけれど,検索して出てくるのは1本のみなので,9月30日にアップデートしたファイルをアンインストールしては,再度,更新履歴を確認し,ファイルがあればアンインストールする。

再起動したところ,今度はパソコン自体がうまく立ち上がらない。セーフモードもなんだか怪しい感じで立ち上がらない。

このあたりになって,しばらく前のWindows Updateでも似たような症状だったことを思い出す。なんとか立ち上がったので,一日前の状態に戻す。

プリンターの問題は解決しないので,一度,ドライバーをアンインストールして,Microsoft IPP Class Driverを切った後,ドライバーをダウンロードしなおしてインストールしたところ,何とか使えるようになった。

Windows Updateの確認を1か月止めて,ようやく仕事を再開した。

銀座

夜に博品館劇場で「THE MOUSETRAP」(ノサカラボ)を観るために銀座に出た。去年は船堀でアガサ・クリスティーの別の作品を観たようで,結婚してから30年以上経ったもののこの時期に家内と出かけることが慣例になっている。

お昼過ぎに有楽町線で銀座一丁目駅まで行き,昼食をとる。歩行者天国を横切って,伊東屋を少し覗く。やたらと高くなった伊東屋の店舗に入るたびに,なんだかめまいがする。あの敷地面積で13階建てというのはどうなのだろう。リーガルパッドが目についたものの,もちろん先日調達したもので間に合うから買わずに出る。

マロニエ通りのスタバでパンを購入。この店は少し前,仕事でインタビューした画家さんが東銀座で開催した個展を覗いた帰りに見つけたのだった。銀座通りから一本東側の通りを7丁目方向へ歩く。こぎれいになってしまった一画がいくつもある一方で,私が銀座の事務所で仕事をしていた昭和の終わりから平成のはじめあたりにはすでにそのままあったかのようなビルや店がときどき残っている。

晴海通りを渡ると,通りを跨いで店を広げる建物がいやらしく通せんぼしているものの,ライオンのあたりにくると40年近く前とそれほど変わっていないことにホッとする。昼になるとライオンの裏側ではお弁当を販売していて,週に何度か買いにきた。それ以外は小諸そばか,資生堂パーラーの並びにあった福家書店の2階,月に一度くらいは銀座ナインの飲み屋でランチをとったものだ。

有名な八丁目の交番とそこに入った公安の詰め所は高さも当時のままだった。何度も書いたけれど,平成が始まったあたりの1月のある日,休日に仕事をしに事務所に入ると,途端,電話が鳴った。無言電話だった。それが2,3度繰り返されると,あとはなしのつぶてだ。大喪の礼やらなんやらを妨害しようとする一派が銀座あたりから皇居に向けてなにやら発射するのではないかと訝しがられたのだろう。4階建の古いそのビルの4階の上には小さなペントハウスとバルコニーが付いていて,そこからなにがしか試みようとすれば,できないことはなかった。

銀巴里跡地にはプレートが残っていて,いや銀座のあちこちに,ここには〇〇があったと記されている。博品館劇場までとりあえず行って,時間がまだ早かったので,ウエストあたりで休憩しようかと歩き出す。金春湯は営業を続けていて,この近くにあった,やけにあっさりとしたラーメンを出す中華料理店というかラーメン屋は跡形もない。この通りにきたときは必ず確認するけれど,こちらの痕跡は何も残っていない。

ウエストはLINEで登録して店外で空席を待つようになっているそうで面倒くさいったらありゃしない。銀座オリオンズが昼間からカフェとして営業していて,プリンが有名なのだとパネルに書いてあるのを見つけた。16時半ラストオーダーというので無理かもしれないが10階まであがる。銀座のビルはこんな感じだったなあと思い出す。幸い入ることができて,プリンとコーヒーを頼み休憩する。

戦後早々から店を張っているところには,どこかバタ臭い意匠があちこちに残っている。内装への投資の方向がその後とは明らかに違っていて,それは心地よい一方で,何だか張りぼてのようにも思える。そのどちらにも反応できる世代にとって,銀座の老舗はまだ面白さを感じる対象であり続けている。

コリドー街の先の高架下,新橋に向かえば新聞や荷物の集積・集配場があった手前に,ゆっくりと下る通り沿いに,そういう老舗が店を営んでいたのはリーマンショック前くらいまでだろうか。そこから先,張りぼてのような老舗は表通りから一掃され,それはまた高架下あたりまで浸食していったのだ。

銀座六丁目から八丁目あたりに,銀座オリオンズのようにいまだ奇跡のように残っている張りぼての老舗とは,きちんと対峙したほうがよいと思う。気づかないうちに,張りぼてはしぼんでしまうのだ。と,書きながら,同じ頃,目白の川村学園の少し先にあったフランス料理店がまさに張りぼてだったなあと思い出す。おいしい店ではあったのだけれども,あるとき,時代から取り残されてしまったのだ。その店のディレクトールなのか,毎回,お世話になった人は,ことあるごとに「皇室の方が」と始まった。あの何とも胃にもたれてくる感覚は,とはいえ捨てがたいものではあったのだと,なくしてしまった後で振り返ることになる。

博品館劇場で観た「THE MOUSETRAP」はとても面白かった。

踊ってばかりの国

恵比寿リキッドルームでの踊ってばかりの国のライブがとれた。コロナ前からこのライブハウスとバンドの相性がよいのだろう,ライブに参加するたびに,記録として残しておいてほしいと感じる演奏が繰り広げられた。

繰り返しになると思うが,新宿にあった頃のリキッドルームの音はあまり好みではなかった。それが恵比寿に移ってからしばらくして来たところ,気になったはずのドラムの音がすっきりと響くようになった。

週末金曜日,開場が19時,スタート20時というのは出かけやすい。仕事にけりをつけてから高田馬場経由で恵比寿に向かった。さ竹で軽く夕飯を済ませてからリキッドルームの2階にあがる。読み返していた『ステンレス・スチール・ラット』のページを捲りながら順番を待つ。390番台だったので,しばらく時間があり,そのうちに家内と娘と落ち合った。

受付を済ませ,フロアに入るとかなりたまっている。PAコンソール真裏にひとり分の空きがあったのでもぐりこんだ。家内と娘は少し手前に陣取る。そこに那智君がやってきた。前回の踊ってばかりの国のライブ以来かもしれない。二人してPAの後ろに行き,あれこれと話す。

定時に客電が落ちて,ライブが始まる。

セットリスト

  1. your song
  2. Hey human
  3. Notorious
  4. Lemuria
  5. 兄弟
  6. H2O
  7. orion
  8. !!!
  9. Au te amour
  10. 海が鳴ってる
  11. クロール
  12. ひまわりの種
  13. 知る由もない
  14. サテン
  15. on the shore
  16. Twilight
  17. Mantra song
  18. ムカデは死んでも毒を吐く
  19. バナナフィッシュ
  20. ghost
  21. それで幸せ
  22. 新曲
  23. boy

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