転倒

大学受験のとき,ステンカラーコートに両手を突っ込み,急な階段をだらだらと登って鳥居までたどりついたところで躓いて転倒。ポケットから前身ごろまできれいに裂けた。

あの頃から転倒となんだか馴染みになってしまった。30代以降,われながら「まずい」と感じた転倒が何度かある。

月曜日に家内が携帯電話の契約を変更するというのでついていくことになった。前日,高円寺店で夕方に空いていることを確認,家内が予約を入れたとばかり思っていた。17時に家内が事務所にやってきた。予約時間を確認すると17時20分とのこと。間に合わないかもしれない。東中野についたあたりで遅れても大丈夫か連絡したほうがよいかも,などと言いながら駅に着いた。

JRへの乗り換え方向に向かおうとすると,なんだか様子が変だ。東中野店に予約を入れたという。昨日,確認したときは予約で埋まっていたはずなんだけどと言いながら店に着く。で,結局,東中野店に予約はしておらず,入れたのは高円寺店だった。すでに予約時間を過ぎている。とりあえず高円寺店に連絡を入れると,この後,空き時間はないとのこと。

近くの店を調べて連絡したところ,中野坂上店で対応してくれることになった。大江戸線に乗り一駅。ついエスカレーターを歩きあがろうとしたところで躓いた。左膝を打ち左手をついてから右手に重心を移動,そのはずみで右の額を軽く打った。これで額から血が出たりすると難儀なのだけれど,幸いその手の傷にはならなかった。ところが,最初に打った左膝がどうにもやばそうだ。

こういう打ち方をすると,だいたいトラウザーズの膝がサクッと切れるのだけど,厚手のツイードを履いていたので,そのあたりは問題なさそうだ。ところが膝を伝わって血が踝あたりまで流れるのがわかる。やばい傷になっていなければよいけれど,やばそうだ。

とりあえず,足を引きずりながら店に行き,家内の契約変更を終える。近くのコンビニに薬局が併設されていたので,家内にそこで消毒液と滅菌綿,湿潤ガーゼを買ってもらい,タクシーで家に戻る。

風呂場に行き,おそるおそる傷口をみると,幸い横一列に裂けたようなものではなかった。お湯から温度を下げて傷口から足先までを洗い,軽くふいて処置を済ませた。

値段

1980年代が始まるほんの少し前,ときどきLPを買うようになった。通学路の半ばほどにあった新星堂に,学校帰りに寄っては品定めする。King Crimson界隈の情報を得始めた頃だったので,プログレ棚を行ったり来たりした。

キングのユーロロックコレクションシリーズは,どうもイメージ的に安っぽく思えて近寄らなかった。イーノのLPもプログレのあたりにあって,こちらも当時は買わなかった。そんな頃のことを思い出しながら,どうやってLPを選別したのだろうかと考えてみた。

当時,安いものは1枚1,980円ほど,おおむね2,300円くらい。輸入盤で米国盤は1,000円台で並んでいたけれど,英国盤は2,700円くらいした。安いのは米国盤で,次が国内盤,高いのは英国盤。音のよさもだいたい値段に比例していて,ステレオセットに大してお金をかけていない私の家であっても英国盤をかけると音の違いは歴然とした。

1枚2,300円は学生にとって手軽に出せる金額ではない。で,どうやって対価を想定していたかという話になる。七面倒くさいことを言っていても,アルバイトして稼いだお金を使ったりするわけではなく,対価のイメージは貧乏くさいものだった。ここ数日,あれこれ考えていたところ,つまりは1枚のLPにどれだけの人(ミュージシャン)がかかわったかがあって,次に曲数(多すぎてもダメだし,少なすぎても引けてしまった)。簡単に言ってしまうと,ギター1本で弾き語りでLP1枚,両面合わせて14曲なんてLPにはまず手を出さなかった。

ELPをLPで聞かなかったのは,メンバーが3人しかいなかったということが影響しているかもしれない。買うには最低でも4人分の楽器が鳴っていなければならない。曲数は多すぎてのダメ,少なすぎてもダメだ。ということで,最初に買ったKing CrimsonのLPは”Starless and Bible Black”になる。これがすばらしいアルバムだから反省する必要がなかった。

ところがイーノの”Music for Airport”あたりを引っ張り出すと,これ買ってよいのかと悩んでしまうのだ。どうも楽器の音はあまり鳴っていないみたいだ。曲は長いけれど,タイトルはシンプルすぎじゃないか。

振り返ると,貧乏くさい選び方としか言いようがないものの,当時,ロックはそれなりのお金をかけてアルバムがつくられるもの,というイメージが強かった。「お金をかけたもの」というのが基準のひとつで,それはパンクやニューウェイヴにしても変わりない。フライングリザーズだってLP出すのだからお金がかかっていると思わなければ手を出さなかった。

そうやってLPが増えるなかで1981年がやってきた。ロバート・フリップの”Let The Power Fall”がリリースされたのだ。先の例にならえば,絶対に手を出さないLPの基準が揃っている。にもかかわらず,1981年というと北村昌士のクリムゾン本が出た頃だったし,すっかりフリップのギターとブラフォードのスネア中毒になってしまっていたので,ついこのアルバムを買ってしまった。

A面1曲目からB面ラストまで,すべてフリッパートロニクスの演奏が納められたこのアルバム,買ったときは金返せと思ったものの,結局,その後,繰り返し聞くなかで愛聴盤となってしまった。恐ろしいものだ。80年代に入ると,LPを買うのに先のような暗黙の基準は少しずつ崩れていった。

CDがリリースされはじめると,ギター1本であろうが面白そうなものは買ってみることにした。セコハン市場に大量のCDが流通し,手軽に買えるパッケージになったことが大きな要因だろう。以後,四半世紀をはるかに過ぎ,10代の頃,貧乏くさい基準でLPを買おうかどうしような悩んでいたことをふと思い出す。

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頼んでいた棚が届いたので,それをもって事務所に。事務仕事をしながら,2時間くらいかかって棚をつくった。想像していたよりも高さがあって,少し置き場所を考える。昼は家に戻りとる。午後からは事務処理続き。17時過ぎに家内がやってきたので仕事を終えて中野まで買い物に行く。

落合まで歩き,中野まで出る。しばらく買い物をして,ミヤマで休憩。入る必要なかった気もする。昔ながらのプリンというのを家内が頼んだのだけれど,できあいのもののようで,昔ながらのプッチンプリンだろう,これは。古本案内処で石沢英太郎の文庫を買い,わしやでお弁当を調達して帰宅。

花粉症の季節が始まった感じがする。

JP

娘の誕生日に夕食をとるには予定を入れ込む隙はないようで,自分のことだと思って考えれば,至極真っ当だ。日曜日に夕飯をテイクアウトしてきて,月曜日の夜は映画を観ることになった。

17時過ぎに事務所を出て,近くの立ち食い蕎麦屋で軽く夕飯代わりを。西武新宿まで出て,歌舞伎町の映画館で「コンフィデンスマンJP 英雄編』を観た。家内と娘は会場間際にやってきて,2時間と少し,映画第一弾に立ち戻った小気味よさ。途中までは今回はダメかなと思ったけれど,最後の数十分で一気に挽回した。まあ,途中までが仮に面白くても,このシリーズに関しては,最後でどこまでひっくり返るかが醍醐味なので,その意味では「シリーズ最高傑作」との惹句は間違いでない気がする。

帰りにスーパーマーケットで夕飯用にお弁当を買って帰る。

週末

土曜日は久しぶりにゆっくり休む。とはいえ午後から事務所に行き,少し仕事。15時くらいに家内と待ち合わせて吉祥寺まで買い物に行く。喫茶店で昼食をとり,コピスでセール品をチェックし,セーターを購入。ブックオフで文庫本2冊を買い,夕飯用にお弁当をチェックしていると19時過ぎになってしまう。蔓延防止法発令の影響で,20時に閉まる店が多い。東中野経由で帰宅。夕飯をとり,テレビを見て眠る。

日曜日は9時半からWebで講演会に参加。途中,休憩をはさみ16時過ぎまでの長丁場。夕方,娘の誕生日用に目白のレストランに頼んでおりたテイクアウトを取りに行く。寒い。帰りに日高屋で少し休む。このところ石沢英太郎『九州推理紀行』を読んでいる。短編集で時間潰しにはよい。まあ,それだけなんだけれど。帰宅して,娘の帰りを待って夕飯。月内にアパートを借りて暮らすことになるので,のんびりと。家庭をもってから最初の数年を除き,娘とともに暮らしてきたので,自立した後のことのイメージがわかないなあ。

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