12/15

午前中は校正の整理。午後から高田馬場まで校正を渡しに出る。トイレの交換見積もりの件で来客があるため,一度自宅に戻る。家内が対応し,すでに確認は終わっていたようで,とりあえず昼食をとって事務所に戻った。

銀行のワンタイムパスワード操作の意味を感じられない操作をしなかったため,登録が終わっていなかったことが発覚。登録完了のメールに,この後しなければならないことは書いてほしくない。というか,それでは「登録完了」じゃないから,メールのタイトルがおかしいのだ。そのためにまた,銀行来店予約をとり,書類を渡すだけの行為に出かける時間がとられる。カフカの世界だなあ,まったく。

定時に仕事を終え,家内と中野まで買い物に出る。古本屋を数軒覘いたものの,何も買わなかった。中井のパスタ屋が3日間,全品半額サービスを行っているので混雑覚悟で入ったところ,幸いカウンター席が空いていて,すぐに入ることができた。

作業をするために必要なものはだいたい揃ったものの,セッティングの調整が必要な感じ。仕事場のBGMをSHOUTcastに変えてみた。まあYoutubeでもよいのだけど。インターネットラジオを流していると,2002年,はじめてiMac G4をネットにつないでiTunesから流れてきた放送が蘇る。あれは衝撃だった。

週末

土曜日は家内と新宿まで。昼を一緒に食べようかと思ったものの,思いのほか買い物に時間がかかる。とりあえず仕事の関係で王子まで。頭痛気味で,結局夜までおさまらなかった。17時くらいに散会し,新宿で落ち合う予定がそのまま帰宅。2時間くらい眠る。とりあえず頭痛はおさまり,帰宅した家内と夕飯をとる。

日曜日は昼前に事務所まで。仕掛の本のカバーに使う写真の打ち合わせ。作業をしているとすぐに昼になってしまう。午後に一件,仕事の電話をかける。込み入るかと懸念したものの,それほどでもなかった。18時過ぎに退社。日高屋で少し休憩して帰宅。家内とテレビを見ながら夕飯。

経理ソフトを入れたり,版元ドットコムに連絡をとったりと,編集以外の仕事をすすめる必要性をようやく感じてきたところ。よくわからない風習はスルーして,ただ,スルーしたところに傍目に面白いネタが落ちていたりもする。傍目で,だけれど。

King Crimson

1984年,当時のラインナップでの活動が終わる頃,ロバートフリップファンクラブに入会した。会員は30名弱。会長はSARASVATIのベース奏者,川合紅さんだ。数年間,在籍したものの,例会には一度も参加せず,会報に数回寄稿しただけの会員だったけれど,あの数年間の感覚をときどき思い出す。

1977年,ロバート・フリップ中耳炎患者になってから10年ほどで,あのギターの音色に絡む独特のマジックに出会いの聖なる一回性を求めることはなくなった。

週末にスタジオに入っていた頃だっただろうか。もしかすると学生時代だったかもしれない。昌己がこんなことを言った。バンドを複数掛け持ちすると諸々のクオリティが下がる,下津光史のような例があるから一概にそうはいえないだろうけれど,80年代以降,いくつものバンドを掛け持ちするミュージシャンがめずらしくなくなったとき,確かにそのような感じを受けた。

1つのバンドで作品をつくり,サーカスよろしく各地で演奏し,またスタジオに入る。その繰り返しを複数のバンドで行なうことは難しい。経済的な理由によるのかもしれないけれど,そんなことするとスタジオミュージシャンになってしまうのではないかと思いもした。スタジオミュージシャンはもちろん,ここでは侮蔑用語だ。

20年前,21CSBというユニットができた。元キングクリムゾンに属したミュージシャンにジャッコが加わり往年のナンバーを演奏するという恰好よさのかけらもないコンセプトのユニットだ。2014年以降のキングクリムゾンを21CSBになぞらえる人の投稿を読むことがあるが,あながち見当はずれでないところが悲しい。ただ,デイブ・リー・ロスよろしく,カバー曲にオリジナルのミュージシャンを招聘する妙なすがすがしさを感じるものの。

2015年,2018年,2021年,3回にわたりキングクリムゾンのコンサートを観たが,結局,1972年から74年のコンサートを観たかったという欲求に代わるものではなかった。

King Crimson

トレイ・ガンをコパイロットのように使い始めてから,ロバート・フリップが接点を持ち始めたミュージシャンは言葉が悪いけれどハズレが多い気がする。1969年から74年までのキングクリムゾンにおいても時に,なぜこのミュージシャンを? と思うメンバーは数名いたけれど,それでもトレイ・ガンと10数年にわたって連携をとってきたフリップには,どこか期待はずれな面を感じることが多くなった。

その起用法は凍結前P-MODELの平沢進に似ている。ただし,P-MODELは偶然かもしれないが,起用が奏功した。一方,他のユニットはさておき,キングクリムゾンは混迷を続けた。トレイ・ガンとパット・マステロットを加えたダブルトリオ期に2人が果たした役割はどういう類のものだったのだろう。ビル・ブラフォードとトニー・レヴィンが抜けたダブルデュオの時期は役不足をただただ感じるだけだった。

トレイ・ガンとエイドリアン・ブリューがいない現体制で,ドラマーについては決して悪くはない。ただ,ジャッコ・ジクスとメル・コリンズに対しては何というか,他に誰かいなかったのかと感じてしまう。ジャッコのアルバムがリスタートの契機になったことを思ってもなお。ビル・リーフリンはすばらしかったものの,彼に頼ることはもはやできない。

フリップのただ演奏をたのしむコンサート,たぶん今に続くラインナップが始まったときから,キングクリムゾンはそういうバンドになったのではないだろうか。その意味では,今回のコンサート前半は2018年よりもよかった。”Level5″で一区切り,あとは”21CSM”あたりまでで,第2部については,フリップの演奏が曲に寄与する(そんなことはこれまで考えるまでもなかったのだけれど)割合は減っていく。そのことがさびしい。

2021年12月8日のコンサートで,この体制は,ということはキングクリムゾンの活動に区切りがつくそうだ。何というか21世紀に入ってからのキングクリムゾンに関しては,前回の来日のときにも書いたように,テクノロジーとの折り合いがいまひとつよくないのではないだろうか。テクノロジーに追い越されてしまった感がぬぐえない。かといってテクノロジーを味方につけるまでもなく,微妙な距離感でテクノロジーと並走している感じ。

それは40年以上聴き続けてきたバンドの活動にピリオドが打たれるといわれれば,なにがしかの感慨が起りはする。ただ,1984年にも1997年にも似たような気持ちにはなったのだ。どちらが強烈だったかと振り返れば,今回ではないことだけははっきりしている。

ビル・ブラッフォードがいた頃のライブで,彼がいかにライブをかき回していたか検証した文章を読んだ記憶がある。ある意味,フリップ以上に面倒くさいミュージシャンなのだ,ブラフォードは。そうした癖のあるメンバーが今回のラインナップにいなくなってしまったことが明らかにクオリティに反映してしまっている。

もう少しだけ続けて書くかもしれない。

King Crimson

全体,スムーズな流れに乗った印象。

16時半に事務所を出る。大江戸線から半蔵門線に乗り継ぎ渋谷まで。オーチャードホールに着いたのは17時過ぎ。ちょうど入場整列がはじまったところで,列が膨らみはじめるあたりに順番を確保した。手の消毒,検温,事前の状態を報告したフォーム返信を見せて会場に。物販売り場はすぐに順番が来て,Tシャツとプログラムを購入。TシャツはLサイズが最後の一枚だとのことで返品できないと説明があったが,あれは交換できないという意味なのだろう。

席を確保。ほぼ前回の対面で,オーチャードホールだからステージまで遠くない。売店に入り,カツサンドを白ワインで流し込む。

結局,King Crimsonを観るとロバート・フリップを観ることなのだと思ったステージだった。”Red”から”Level Five”まで,フリップのさまざまな演奏を堪能する。”Islands”はジャッコのボーカルが突っ込みすぎで,とろこどころ変拍子に聴こえるくらいだった。やたらためて歌われるよりもはるかにマシだとはいえ,モニター聞きながら,あのタイミングで歌うのはどうなのだろう。

とりあえずセットリスト(続きます)。

セットリスト

第1部

  1. Hell Hounds of Krim (DRUMSONS BISH! THE WAY TO COMPLETION)
  2. The ConstruKction of Light (TCOL)
  3. Red
  4. The Court of the Crimson King (ITCOTCK)
  5. Radical Action II
  6. Level Five (LTIA 5)
  7. Islands
  8. Neurotica
  9. 21st Century Schizoid Man (21CSM)

第2部

 10. Drumzilla (DRUMSONS BISH! THE WAY TO BEGINNING)
 11. Epitaph
 12. One More Red Nightmare (OMRN)
 13. Tony’s Cadenza (SERVES A SUPER-PSYCHED SLITHERINESS)
 14. Peace: An End (PEACE (FULL))
 15. Pictures of a City (PITURES)
 16. Indiscipline

—encore—

 17. Larks’ Tongues in Aspic, Part Two (LTIA 2)
 18. Starless

Top