マイク・ハマーへ伝言


俺に,自分と二重映しにして計測するほどの他人がいる! 克哉は腹をたてる。誰にしろ,そんな他人がいたなんて,あっていいことだろうか。
矢作俊彦『マイク・ハマーへ伝言』(光文社,1977)

電子ブックの話題になるたびに,こころの奥底,どこかで何冊かの本の感触が沸き起こる。『マイク・ハマーへ伝言』は最初の文庫本が出たときにはそれほど思わなかったものの,角川文庫を手に入れたとき,束がどうもピンとこなかった。「こんなに薄かっただろうか」という具合に。

表紙に描かれた「MH.I’m HARD ON YOU!」の文字から活版の文字,改行のリズムなど,昭和の終わりから幾度となく捲ったページの一枚一枚に記憶が染みついている。

手持ちの本に代替しうるものはない。そんな本が何冊かある。

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