地域共生社会?


仕事の都合で,厚生労働省の「我が事・丸ごと」地域共生社会実現本部が今年2月,発表した資料にさっと目を通した。「だめだ,こりゃ」と一言で済んでしまうような代物で,こんなものをまとめ,具体化しようというアホに税金がどれだけ消費されるのかと想像しただけで胃が痛くなる。

21世紀が始まる少し前,世の中では「失敗に学ぶ」ことについて一定の評価が得られた。誤りの公表は,今後,同じ轍を踏まないようにするには何をどうすればよいのか考える素材の提供につながる。「間違ってくれてありがとう」とまでいう流れになったものだ。

ところが,ここ数年の厚労省関連の報告書を見ると,①昔はこうだった→これからはこうする,②昔はよい時代だった→昔のよさを取り戻す,だいたいこの2つに集約される。「間違ってくれてありがとう」の「ま」の字も出てきはしない。

①は,まだ,それでも批判のしようがある。問題は②だ。勝手に歴史を改ざんして,昔の日本はよかった式の文言が何の衒いもなく登場するのを見ると,批判より先にばかばかしさの真っただ中に放り込まれたような気分になる。

「地域共生社会」を喧々する文章の冒頭には,

地域共生社会」の実現が求められる背景
歴史的に見ると、かつて我が国では、地域の相互扶助や家族同士の助け合いにより、人々の暮らしが支えられてきた。日常生活における不安や悩みを相談できる相手や、世帯の状況の変化を周囲が気づき支えるという人間関係が身近にあり、子育てや介護などで支援が必要な場合も、地域や家族が主にそれを担っていた。

地域共生社会」の実現に向けて(当面の改革工程)
平成29年2月7日厚生労働省「我が事・丸ごと」地域共生社会実現本部

とある。本取り組みが対象としているのは,高齢者,障害者,子育て家族,独居者などで,たとえば精神障害者の暮らしを地域や家族がどのように担ってきたか,その歴史は専門書をあたらなくとも,新書を数冊読むか,そこまでの労力をかけたくないならば,Webで検索すれば,その非道い様子について情報を得ることは容易い。

情報を得てなお,「地域の相互扶助や家族同士の助け合いにより,人々の暮らしが支えられてきた」と書くことを,一般には“歴史改ざん”という。

戦後、高度成長期を経て今日に至るまで、工業化に伴う人々の都市部への移動、個人主義化や核家族化、共働き世帯の増加などの社会の変化の過程において、地域や家庭が果たしてきた役割の一部を代替する必要性が高まってきた。これに応える形で、疾病や障害・介護、出産・子育てなど、人生において支援が必要となる典型的な要因を想定し、高齢者、障害者、子どもなどの対象者ごとに、公的な支援制度が整備され、質量ともに公的支援の充実が図られてきた。
同文書より
この一文だって,「地域や家庭が果たしてきた役割の一部を代替する必要性が高まってきた」と,まあ臆面もないことが書けるものだと,ある意味感心してしまう。こ奴らにとって,公共の福祉はどんな認識なのだろう。あくまでも勝手に都会に出てきて(「個人主義化」は確信犯的に入れ込まれたのだろう),核家族,共働きした個人に要因を押し付ける。そうしなければ,食べられなくなった状況(国がそのようにしてしまった状況)にはまったく頬かむりするのだ。
 
しかしながら、昨今、様々な分野の課題が絡み合って複雑化したり、個人や世帯単位で複数分野の課題を抱え、複合的な支援を必要とするといった状況がみられ、対象者ごとに『縦割り』で整備された公的な支援制度の下で、対応が困難なケースが浮き彫りとなっている。例えば、介護と育児に同時に直面する世帯(いわゆる「ダブルケア」)や、障害を持つ子と要介護の親の世帯への支援が課題となっている。また、精神疾患患者や、がん患者、難病患者など、地域生活を送る上で、福祉分野に加え、保健医療や就労などの分野にまたがって支援を必要とする方も増えてきている。
同文書より
こんな調子で続けられると,頭が痛くなってくる。現状に対応困難な制度をつくったのはもちろん国なのだ。にもかかわらず,問題のありかを「支援を必要とする方」に向ける。
 

地域における多様な支援ニーズに的確に対応していくためには、公的支援が、個人の抱える個別課題に対応するだけでなく、個人や世帯が抱える様々な課題に包括的に対応していくこと、また、地域の実情に応じて、高齢・障害といった分野をまたがって総合的に支援を提供しやすくすることが必要となっている。
同文書より

であれば(本当にそう考えているのであれば),まず取り組むべきは厚労省内の部局の統合であって,各部局が管轄している専門職を云々いっている場合ではないと思う。

それよりも何も,ゴールドプラン,新ゴールドプラン,健康日本21,介護保険,地域包括ケア,何一つその結果を検証,反省せずにいることがアホらしい。

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