近況

日が落ちてもなお,20度近くの気温。夜は家内,娘と待ち合わせて夕飯をとることにした。定時から時間が少し過ぎた頃,思いがけないことがあり,その後,他の要件が重なり,会社を出たのは20時少し前だった。刊行早々に手に入れていたにもかかわらず,ようやく読み始めた畠山理仁『黙殺』(集英社)が面白い。高田馬場で予定していた店が貸切だったので,久しぶりにロマーノに入った。そこそこ食べて3人で3,000円と少し。ずっと混雑続きだったのに,やけに空いていた。芳林堂書店が入ったビルの地下にあった頃よりは,それでも賑わっていた。

昨日,少し前のポストにコメントが届いた。矢作さんからで,「新潮」5月号の「ビッグ・スヌーズ」は休載せざるを得なかったと。こんなサイトにコメントくださり恐縮してしまった(休載の原因に関することは週刊新潮に書かれるそうです)。

大手ブログサイトでなく,レンタルサーバーを借りてサイトを初めてから15年ほど。アクセスが増えないことだけは自慢だった。Wordpressを使っているのだし,以前,データがクラッシュしてしまった際にWeb上のキャッシュを集めて復元できた経験もあるため,SEO対策だけはとっている。そんなわけで固有名詞検索すると上位に出てくるポストがときどきある。たぶん「羅宇屋」(吉祥寺にあった)や「奇病連盟」のポストにアクセスがあるのはそうした理由からだろう。どちらのポストにも後日,写真を加え,少しだけ情報量を増やした。

それでも,愉しみはこそこそと続けるに越したことはない。

お台場の駅を降り,改札の前の書店で時間を潰していたとき,村上春樹訳の『大いなる眠り』がハヤカワ文庫に収載されているのを見つけた。興味が湧いてページを捲ってみた。双葉十三郎訳の推理創元文庫は手元にあるけれど,「アメリカざぼん」という訳語くらいしか記憶にない(これについては村上春樹と川本三郎の「ユリイカ」での対談のなかで紹介されていたはず)。昔の「ミステリマガジン」に原著が刊行された当時の酷評(マンガだったように思う)が載っていた気もする。

文庫で章の頭を追いながら――さすがに出だしは覚えていた――「ビッグ・スヌーズ」が律儀に設定を踏襲しながら書き進められていることを確認した。元町のあの店は,あの店を置き換えたのか,など。愉しいことは,こそこそ愉しめばよいのだと,そんなあたりまえのことを思い出す。「小説は娯楽のひとつなのだ」という治田明彦の言葉とともに。

コメントする

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

Top