King Crimson


1981年,再結成がアナウンスされたキング・クリムゾンに関する情報は,にもかかわらずしばらくの間,ほとんどなかった。ニューアルバムリリースの広告には“KING CRIMSON”の文字以外,コピーも「伝説がなんとかになる」程度のチャチなもので,だから私は結局,“KING CRIMSON”と並んだアルファベットの書体をただただ眺め,空想をめぐらせるしかなかった。

バンド名を眺めて,空想する。情報が限られている状況を決してばかにしてはならない。自分の想像力と勝負するかのような,まあ,徒労といわれても反論しようがない所作ではあったものの,バンド名のアルファベット以外,手持ちの札はないのだからしかたない。“KING CRIMSON”の文字を眺めてはアドレナリンを沸々とさせていた頃は今にして思えば,誇らしい。繰り返しになるけれど,アルファベットだし。セリフ,縁つき,白抜きのゴシック系書体だ,スミ1色の。

しばらく後,スキンヘッドとアロハシャツの新メンバーと並ぶ,ラフな格好をしたフリップ,スリットドラムを抱えたブラフォードの写真が登場しても,結局,アルファベットを眺めていたときにアドレナリンが沸々としてくる感じにはかなわなかった。それはそれで,どうかと思うものの。

さらに後,雑誌に海外でのライブ写真が掲載された。最初に載ったのは「ロッキンf」だったか「音楽専科」だったか。「ロッキンf」を捲ると,ロートタムをフロントに並べ,通称・六角ドラム(シモンズ)をメインに据え,シャッタースピードの間に扇のように開いたドラムスティックを操るブラフォードの写真が載っていた。スティックを叩くトニー・レヴィンの姿もあったはずだ。バンド名以外の情報で,ようやくアドレナリンを沸々とさせるのに役立つアイテムが登場した。もちろんロートタムだ。

夏になると,アルバムジャケットに描かれたマークが登場し,NHK-FMで新曲がオンエアされた。フリップへのインタビューを交えて紹介されたのは,“Frame by frame”“Elephant talk”“Mattekudasai”“Discipline”の順だった(たぶん)。

“Discipline”を聴いて,「なんだか『太陽と戦慄パート2』っぽいな」と感じたことを思い出す。

で,ニューアルバムのジャケット裏にはこんな一文があった。

Discipline is never an end in itself, only a mean to an end.



(つづきます)

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