読書会

一昨日は,先週買った冷蔵庫の搬入日。朝から玄関,廊下まわりを少し片づけ,あとは家内と娘に任せた。20時頃に戻ると,2人とも疲れた様子でテーブルに座っている。古い冷蔵庫を処分してもらい,新しい冷蔵庫をセッティングするのに1時間ほどかかったようだ。ここ一週間で冷蔵庫内を少なくしていたため,新しい冷蔵庫の中が空いている。

昨日は,夜から読書会。課題本はマーガレット・ミラーの『まるで天使のような』(推理創元文庫)。ロス・マクの連れ合いだったそうで,日本で言うながば藤田宜永と小池真理子のようなものかというネタは考えた。

文章がうまく,ワイズクラックが効いているので,途中までたのしく読んだものの,後半,だらけてしまい,“最後の一撃”は,それほど衝撃を受けなかった。後半はかなりスピードをあげて読んだため,もう一度読み直した。

横溝正史の世界をハードボイルドの手法で描くとロス・マクになるといったのは矢作俊彦だったと思う。つまり都会を描けないという意味で,田舎の因習を背景にした犯罪を,いくらハードボイルドの体裁をとって繕ってみても,それはハードボイルドではない,と。まあ,矢作俊彦が思い描くあだ花としてのハードボイルドだけれど。

その意味で,『まるで天使のような』も,ロスの田舎町とカルト宗教という,なんだか横溝正史というかTRICKというか,そんななかで話が進む。面白くもない町とカルト。だからどちらも,小説を描く駆動力にはならない。探偵はseek and findの定説にのっとり,真実を見つけ出したとき,見つけ出したものは姿を変えている。

それがチャンドラーの『長いお別れ』のように魅力的でないのは,あくまでも推理小説としての体裁を死守したためだろう。その分,綻びは少なく,なおさらに田舎臭さは鼻につく。

読んだのは新訳版で,旧訳は菊池光が担当していたと知り,どんなふうに訳したのか,こわいものみたさで読みたくなった。

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