山形

夕方,昌己に連絡して,夕飯をたべることになった。

19時に新井薬師前駅で待ち合わせる。池袋線が事故の影響で,新宿線も遅れていた。南口の商店街を歩き,五差路を左に折れ,最初のT字路を右に入る。しばらく進み,右手奥に銭湯だった建物が見えてくると五香菜館だ。

30年ぶりに入った昌己は筆舌に尽くしがたい思いがあったようで,ときどきため息を吐く。内装はほとんど変わらず,おじさんはおじいさんになったものの,声や様子はそのままだから,安易な表現だけれどタイムマシンで過去に遡ったかのよう。

最初は混んでいたので,餃子とビールで店の雰囲気をたのしむ。贅沢なのかどうかよくわからないが。客が少なくなったあたりで,手打ちみそラーメンと手打ちつけ麺を頼む。ネットでの書き込みでは,味が変わったとか何とかあったものの,ここ何回か来て,そうは感じなかった。

21時前にお勘定して駅に戻る。もう一軒入ろうかと,ぶらぶらしていたところ,出禁になった田助があったビルに山形料理の居酒屋があるのを見つけた。旨そうなので入ってみた。樽平は,もともと江古田北口にあったそうで,五香菜館で昌己の会社に武蔵大学卒がいて,江古田コンパの話になったと聞いたばかりだったので,江古田に縁がある日だなと思った。

日本酒とお通しでしばらくご主人と話す。秘境カメラマンだそうで,店内に飾られている写真はご自身で撮影されたものだとか。一番恐ろしかったのはパプアニューギニアで,ええ,それは諸星大二郎の『マッドメン』の舞台じゃないですか。それを細野さんは間違えて「madmen」という曲にしてしまったというよくあるトリビアを思い出す。

いも煮は,十分な一品料理で,何とも美味しかった。江古田時代に通ってきたマンガ家の話といいご主人のネタは尽きない。金曜日の夜に客は私たちだけだったのが少し気がかりではあった。

23時を回ってしまったので退散する。帰りながら昌己が「また,出禁になったりしてな」と。

樽平酒造の酒は二日酔いにならないと太鼓判を押されたものの,翌日,ひどい二日酔いだった。

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