Bed & Breakfast

年明けにYouTubeを流していると,デフスクールの“Bed & Breakfast”にたどりついた。2017年11月にリリースされた新曲らしい。というかアルバムが出ていたのだ。

マッドネスに“The”がついて冴えなくなってしまった頃のことだ。にもかかわらず,ベスト盤“Divine Madness”と同名のPVをまとめたビデオの出来はすばらしい。その後,数年のスパンはさらっとやりすごすことができるようになったものの,1980年代後半は,1年前でさえ,とりかえしのつかない過去になってしまう。

マッドネスのプロデューサーだったクライブ・ランガーはアラン・ウィンスタンリーとともに英国のいくつものバンドをプロデュースした。その多くが私はとても好きだった。“The”のついたマッドネスのアルバムは彼らのプロデュースによるものではない。

そんなわけで,レコード屋がCDショップに変わる頃,クライブ・ランガーをチェックしていくとデフスクールに遭遇した。場所は銀座ソニープラザ地下にあった数寄屋橋ハンターだ。当時,デフスクールのアルバムがCD化され,日本盤が出たのだ。1988年のライブ盤リリースとほぼ同じタイミングだったと思う。先にライブ盤を買ったのかもしれない。そこではリー・トンプソンがサックスを吹き,Special Thanksとしてサグスのクレジットがあった。

このライブアルバムがよかった。キンクス・ミーツ・ロキシーミュージックと称されたデフスクールの音楽が,1988年当時の音で奏でられる。1980年代前半の音の変化を経ていないスタジオ盤は音質がやや軽い。当時,“Blue Velvet”のカバーをつくったときには,オリジナルではなく,このライブアルバムに収められているバージョンをもとにした。

その後,ときどきライブを行ない,来日もしていると目にしたことがある。新曲のみならず新譜がリリースされていたことは知らなかった。2017年のアルバムの前にも,新曲とライブ音源によるアルバムが出ていたのだそうだ。

で“Bed & Breakfast”について。マッドネスの1stに“Bed and Breakfast Man”という曲がある。10数年前の来日コンサートでは,“They used to call him a loafer”の“loafer”を,あれ,何だっただろう,当時,日本での呼称に変えて歌った。この曲とは関係のない話だけれど。

デフスクールのたとえば“Taxi”のコード感を抱えたまま,よりダンサンブルな曲に仕立て,さらに老いをリアルに取り込む。こういう曲は,日本ではほとんどつくられることがない。PVの仕上がりがまた素晴らし。貼り付けたあたり,海辺の道でダンスをする老人(誰だろう。見たような気がするけれど名前は出てこない)のカットのすばらしさ。そこから「デフスクール」のエンブレムまで,当時,マッドネスのPVを見たときに感じたのと同じ感覚で見てしまった。

年明けから10数回,繰り返し見ている。飽きることはない。

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