Solo

久米君が午前中までで退社。昼休みに郵送された伝票を当たり前のように渡す上長は,まあ,だから退職するのだな。微細にわたり準備してもらったマニュアルを確認し,営業・事務の机まわりを掃除しながらセッティングしなおす。

ほぼ引き継ぎなしに受けざるを得なかった9年前までの経理関係の残滓が手つかずであちこちに埋もれている。よほど頭にきたのだろうなとその伝票類を見ながら木霊が届く。

無理して編集の作業をすすめることなく,引き継ぎをチェックし19時過ぎに退社。帰宅後,家内とテレビを観ながら夕飯。片づけをしていると娘が帰ってきた。申し込んでいた赤い公園のロングTシャツが届いていた。コンサートまであと1週間。とりあえずココアアプリをインストール。

雨で塩垂れた文庫本の『ドアを開いて彼女の中へ』を途中から読み,サバの話になったあたりで,あれ? と思った。1979年に連載「ヨコスカ調書」第4回までを置き土産に,パンナムで世界一周旅行に出かけ,ニューヨークに住む予定が潰瘍をこじらせ帰国となった顛末は,いくつかのエッセイで読んだ。そんなふうに経過をつなげて理解した。ただ,この旅行,ずっと矢作俊彦ひとりで出かけたとばかり思い込んでいた。サバのエッセイを読み,このとき3人で出かけた事実が先の経過にようやく上書きされた。これまで幾度となく読み返していたにもかかわらず,へぇ,そうだったのか,という按配だ。

理解力に乏しいからではあるものの,こういうことがあるから,本は読み返すことだと思った。こういうことって,とくに生産性があるわけではないけれど。

コメントする

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

Top