ビッグ・スヌーズ

伊野尾書店で「新潮」4月号を手に取りページを捲る。「ビッグ・スヌーズ」最終回とある。購入し,近くのパレスチナ料理店で昼食をとりながら読んだ。15時から打ち合わせで西日暮里のルノワール。17時過ぎに終わり事務所に戻る。夕飯のおかずを買って帰宅。

まずは「ビッグ・スヌーズ」だ。

連載中,一貫して小説の強度が落ちなかったのは「常夏の豚」以来ではないだろうか。「常夏の豚」でさえ,最後のあたり,編集部との軋轢があったのだろうか,旧作を組み込んだりしたので,きっちちと終わったものとしては「悲劇週間」以来かもしれない。「悲劇週間」はおもに,全体を刈り込んで軽くした後,単行本化されたので,今作もそのような段取りになるのかもしれない。

前作『フィルムノワール/黒色映片』は後半,連載を追うことを断念してしまった。前半は無茶苦茶面白いのだけれど,香港に行ってから物語がマジックリアリズム風に展開し,混乱してくる単行本は前半だけを繰り返し読んだ。

くらべて「ビッグ・スヌーズ」の何とカチッとした構成具合。旧作から出張ってきたキャラクターはもとより,若者の描き方がとくにすばらしい。ある若い登場人物の場面など,(誉め言葉としての)まるで映画みたいだ。彼が対峙したものを描いた場面はもしかすると,矢作俊彦が描いてきたいくつものすばらしいカットのなかで一番かもしれない。

感想を少しずつ書き溜めることにする。

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