本屋

麻布十番の崇文堂書店には,事務所が東麻布にあった頃,会社帰りに出かけた。ただ,遅くまで開いていないのと,どちらかというと品揃えがビジネスマン向けだったので,せっかく立ち寄ったはいいものの,実のところ本を買った記憶は数回しかない。結局,六本木のあおい書店のほうが便利だったのだ。

娘が小学校に入った頃。あのあたりにたむろする子連れ向けに置いてあるだろうと値踏みしたものの,探していた雑誌がなかったことを契機に,近くにある滅茶苦茶辛いカレー店までは行っても,本屋には足が向かなくなった。

最近は,年に数回しか麻布十番界隈に出かけることはなくなった。オーストラリア大使館で取材があったので,久しぶりに麻布十番で降りた。昼間だったので閑散としていた。時間潰しに崇文堂書店へ入ったけれど,結局,本を手に取ることもなかった。なぜかわからないけれど,あの本屋は本が目に入ってこないのだ。

HON

クローニンの小説を読み進めながら,十数年ぶりに『2001年宇宙の旅』(新訳)と三好徹のスパイ小説,ここ数日は『人造人間キカイダー The Novel』まで鞄に入り込み,すきあらば新古書店の105円棚からゴルゴ13のコンビニ本が滑り込む。非道い読書環境だ。それにしても三好徹はゴルゴ13の原作を10や20は書けそうな感じがする。

キャプテン

ちばあきおの『キャプテン』を読み始めたきっかけは,母親だったと記憶している。風邪をひいて小学校を休んでいたとき,どうした風のふきまわしか,書店から買ってきたのだ。記憶があいまいなのは,どう考えても母親に『キャプテン』を選ぶセンスがあるとは思えないからだ。でも,たぶん母親が買ってきたのだと思う。なぜだかわからないが。

近藤がキャプテンになったあたりで読まなくなり,『プレイボール』も連載開始後しばらくは手にしなかった。でも,石森章太郎に遭遇するまで,ちばあきおの漫画はほとんど唯一,私にとってのストーリー漫画だった。

少し前,新古書店でコンビニ本第1巻が105円であったので,ふと手に入れて読み進めた。何よりも単行本第1巻あたりはほとんど記憶していて,何気ないコマまで諳んじられるくらいだった。数日前,第2巻を見つけて読んだ。たぶんジャンプコミックスの5巻あたりまでで,谷口キャプテン時代なのだけれど,気分は小学生に戻ってしまった。

それにしても,なぜイガラシは五十嵐と表記されなかったのだろう。

旅行ガイドブック

20年以上前の旅行ガイドブックが売っていないかと,古本屋を探すものの,並んでいるのはせいぜい10年くらい前までのものばかり。

かなり消え始めた記憶をたよりに,はじめてイタリアに行った頃のことを記そうと思いながら,どうしても当時の情報を探してしまう。

劇画

「ゴルゴ13」を読んでいると,ストーリーはさておき,古くからの“劇画”の表現形式がここ10数年,すっかりなくなってしまったことに気づく。同じマジックを使って描いた線が,まるで意味を違えて見えてくる。良くも悪くも“劇画”のイメージから遠く離れている。まったく普通のマンガだ。

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