Park Life

茗荷谷駅を降り,窪町東公園を横目にみながら,突き当りの教育の森公園を左に折れる。道なりにゆるい坂を下って会社へと向かうようになってから2か月が過ぎた。

残暑がいつまでも続いた今年の夏は,公園脇の緑の日よけがとても心地よかった。気温が数度下がっているような気分になってくる。急にやってきた秋は日ごとに変わる樹木の紅葉が楽しみだ。

というようなことを記していると,まるで年寄りになった気分。夜に結城昌治の『死もまた愉し』を捲っていたので,50歳近くになると時代によっては死を身近に感じるのがあたりまえだったのだといわれたようで,あたふたしてしまった。

DISC UNION

ふと,表紙の絵が見晴坂に見えて『東京シャッターガール』(桐木憲一)を買った。よく見たら違ったのだが。それで,そのなかに記されているニコライ堂の位置がどうにも違うように思いながら数日いた。(さっき見直したら,数字が振ってあるところではなく,地図にイラストが記されているところのようで,それだと合っているんだけど,まあ紛らわしい)。

明大通りを降りていくと,主婦と生活社の手前,立ち食い蕎麦屋の手前にDISC UNIONがあった。初めて入った輸入レコード屋がここだったはず(でなければ三省堂の手前の三角ビルの2階にKINNYという店もあって,白いレコード袋を覚えている)。喬司が「音が悪い」という理由で,ブートレッグを突っかえしたのは1980年代の半ばのことだ。私はYBO2の「Alienation」はちょうど“Boy s of Bedlam”のブレイクのあたりで針飛びがあったので交換に行ったことがある。が,喬司のようにはいかず,二度と来るものかとLPを抱えて家まで戻った。

その頃から,レコードを手に入れるのに御茶ノ水までやってこなくとも,ライブハウスの行き帰りに新宿や渋谷のほうが便利だとわかり,明大通りのDISC UNIONに行くことはほとんどなかった。

角の立ち食い蕎麦屋はまだ店を開いているのに,DISC UNIONが閉まってから,かなり前と感じられるくらい長い時間が経った。

このところ本や漫画を買いすぎ(というほどでもないが)。ほぼ読み終えたので『アラン島』と『エリック・ホッファー自伝』を読み始めようと思う。

東日本大震災前は「希望でなく勇気」というフレーズが今一つピンとこなかった。あれ以後,そういうことなのかと,ようやく腑に落ちた。

総理大臣

仕事で久しぶりに神保町へ寄った。古本祭の準備があちこちで散らかっているなか,駿河台を下りながら,すずらん通りをぶらつき九段下のほうまで何年振りかで歩く。一本,二本,竹橋方面の道までぶらついた。東京堂書店にいつの間にかカフェが併設されていたり,書泉グランデの地下が変わってしまったり。

共立女子大学で打ち合わせを終え,出版健保で予防接種を受けて,丸善で買ったのが菅直人の『東電福島原発事故 総理大臣として考えたこと』(幻冬舎新書)。

仕事帰りに芳林堂へ寄って,サイボーグ009の3巻を見つけたものの,1巻,2巻を読みなおそうと思っているので買わずに帰った。

と,買書日記になってしまった。

スパイ小説

しばらく前から,古本屋に行って開高健の本を探すかわりに結城昌治と三好徹の文庫本を探すことが多くなった。以前だったら決して手にすることがなかった類の小説だけど,特に中編は会社の行き来にエスカレータで読むのに手頃だ。

矢作俊彦が,中間小説誌が新幹線の座席に読み捨てられているさまを指摘して,その程度の物語,つまり読み飛ばすのが相応しいと語ったことがあった。この2人の小説は,読み飛ばすというよりも(読み飛ばすのは少し前に買ったサイボーグ009のほう),どこかページを先に捲りたくなる上手さを感じる。

特に巻き込まれ型のスパイ小説は面白い。

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