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納品した採用品の確定部数について連絡が入る。請求書を作成。昼に事務所を少しだけ掃除。校正を済ませる。家内と娘が夕飯をとってくるので,昌己にメールして夜に待ち合わせ。レバンン料理屋は定休日なので,サワディーで落ち合い,1杯だけ飲んでから,昔,青果店だった場所に開いた店へと移動。コの字型のカウンターと奥に一部屋を確保したようだ。以前,昼に二回くらい入ったことがあって,これは夜のほうが使い勝手がよさそうだと思った。

つまみが1冊400円均一というのがよい。ただ,安いためだろうか若い人が通ってきているようで,喫煙可能な店だから久しぶり煙った店に2時間くらいいた。今度,混んでいないときに寄ってみよう。

久しぶりに飲んだからかアルコールが残ってしまった。

ビッグ・スヌーズ

朝から入稿原稿の続きを作成し,週末のWeb会議の設定。これが面倒くさい。有料契約したのだけれど,1か月間は試用期間が設定されている。ありがたいとはいえ,Meetの情報を当たっていくと,有料でないと使えない機能があるという。会議を設定した後,有料登録に切り替えたものの,それでよいのかわからない。とりあえずチャットでサポートを受ける。Googleのサポートなんてものを使うことがあるとは思いもしなかった。12時を過ぎてしまったので,コンビニへ昼食を買いに行く。雨が降り始めている。で19時過ぎまで仕事。週末の一箱古本市には遅れて参加させてもらうことで主催者に了解を得る。非道い雨。

矢作俊彦の連載「ビッグ・スヌーズ」が終わってしまったので,最初から読み返している。ただ,連載中にも書いたけれど,連載1回分を読むだけで満足してしまう。結局,第1回~第3回あたりを何度も読み返すことになる。

繰り返しになるのだろうけれど,「チャイナマンズ・チャンス」も最初の数回は繰り返し読んだ。「ビッグ・スヌーズ」と合わせると一体,あの場面を何度読んだことになるのだろう。「ルッキン・フォー・ビューティー」にも同じ場面はあるのだから数十回読んでいる。にもかかわらず。坂道をゴルフが昇っていく場面から何度も読み返してしまう。

大友康平がザ・ビートルズの『アビーロード』を買ってから聞き終えるまで1年かかったというエピソードを思い出すけれど,これも以前書いた気がする。

40年以上にわたり散発的に書き続けてきた,同じ主人公による一連の小説があって,その最新作の出来がすばらしく,読み終えるのにどれだけ時間をかけても惜しくないなどという出会いがあたりまえに思えるほど,恵まれた人生をおくってこなかった身としてはなおさらに。

昨日,また第1回から読み始めたのだけれど,結局,面白いのだ。

一週間

クラウドファンディングの件で新聞社から取材依頼とのこと。ありがたいかぎり。この時期のため一堂に会することは避けたい。Web会議となると,この間,仕切りをお願いしてきたZoomの契約を検討する。

ところがこれが妙な按排。1IDあたり月額/年額明記はあるものの,コースによって契約は5IDからとか10IDからとなっている。契約しづらいったらありゃしない。しばらく情報を眺めて,Zoom契約はやめにした。代案だったGoogleのMeetは1IDでも利用できるので,こちらの情報をチェックし契約。

そんなことをしていたところに,北本町であらたに書店を開く人が23日,一箱古本市を企画していることを知る。追加で参加者を募集していたので応募してみた。幸い,参加できることになった。諸々情報を送り終わったところで,その日が取材日だということに気づく大失態。

家内はその日,友人と食事だといい,娘は出勤日ということで代替が利かない。キャンセルか遅れて参加か主催者に状況を伝えて判断を仰ぐ。遅れてもよいということで,会場近場のワーキングスペースを借り,そこから取材に参加することにした。

金曜日にワクチン3回目接種。新宿区役所の接種会場はチェック体制は幾重にもなっているものの,一つひとつがゆるいように感じた。あっとい間に接種は終わり,事務所で午後からWeb会議。念のため,18時早々に帰宅し少し眠る。

土曜日は一日だるさが続く。半分くらい眠っていた気がする。腕も痛い。熱発した感覚が続くので測ってみると37℃くらいでやや高い程度だけれど。

日曜日,目が覚めると熱が引いたときのようにからだが軽く感じる。朝食をとり,昼から事務所で少し仕事。家内と池袋に出る。Meetの解説書を買おうと三省堂書店に行ったところ,売り場面積がかなり減っている。本を探す気になれず。ジュンク堂に向かう。その前に喫茶店で軽く昼食。解説書を見つけたはよいけれど,1階の会計に長蛇の列。まさしく長蛇で,会計方法の設定に致命的な間違いがあるのではないかと思う。ブックオフに行き文庫本1冊。パルコの世界堂でサンドペーパーを買い,東武の地下まで行き,夕飯を調達して帰宅。

週末

二週連続で本郷の元編集者(というか今も本づくりをしているので現役)宅で打ち合わせ。前回は編集者ばかり,今回は2月に刊行した本の著者関係の方とお世話になった方の4名で。

で,昼過ぎからワインが出てくるので,つい飲んでしまい,後半,話が途切れなくなってきたあたりで,気づくと18時。散会となる。大江戸線で光が丘まで行き,家内と待ち合わせ。リブロで開催中の古本市で永島慎一『黄色い涙』と大塚英志の新書を購入。『黄色い涙』は復刊の際購入したものを最初の頃の一箱古本市で並べてしまったのと同じバージョン。10数年前に新刊で買ったときはさらっと捲ったもページを,今回は何度か捲りなおす。

夕飯をとり,簡単に買い物をして帰宅。

日曜日は午後から家内と船橋まで墓参に。西船橋の駅構内にある喫茶店で昼食。船橋にもあった喫茶店は新型コロナ禍で撤退し,他の店になっていた。船橋からバスで墓地まで。バス乗り場が変わっている。17時過ぎに船橋に戻り,喫茶店で休憩。家内と別れて古本屋まで歩いたものの閉まっていた。駅まで戻り,東武百貨店のくまざわ書店内で開催されている古本市を覘く。滝田ゆうの『寺島町奇譚』が500円だったので購入。昨日,光が丘で買おうか迷ったものの,あまりに本の状態がよくないので手を出さずにいて正解だった。ビッグコミックオリジナルが戦後70年のときに出した増刊号を捲っていたところ,滝田ゆうのマンガが載っていて,これがすごかった。当時,感心した覚えはないのだけど。半村良の表紙くらいで滝田ゆうのマンガの印象など何ももっていなかったのだけど買ってみようと思ったのだ。島田一男の『幻の街』が届いていた。このシリーズを切り口に誰か島田一男論を書かないだろうか。とても新しい切り口のシリーズだと思う。

買い物をして高田馬場まで。夕飯をとって帰宅。

ついでに月曜日。クラウドファンディングの件で,新聞社から取材依頼があったと先生から連絡を受ける。長いものには巻きつけの精神で,その準備。新装版装丁依頼をしたり,注文品の発送手配をしたりなどで一日は終わる。

Update

何度か記した記憶があるけれど,10代の頃までは「新しいものが一番」という感覚で物事に接していた気がする。アーカイブに意味を見出すほど知恵がまわらなかったということだろうし,それくらいに新しいものが魅力的だったのだろう。

大塚英志だっただろうか,後に「おたく」と呼ばれる一群が,一様に「記録」や「スクラップ」をとっていること/し続けていることをその特徴としてあげていた。特徴であると同時に,後にその記録やスクラップは貴重な資料と化した。その点からすると10代の私はまったく「おたく」ではなかった。興味あるものについてしばしば記録やスクラップを行なったけれど,とにかく,それを保持する体力がなかったのだ。

当時,永井豪の下手な絵と滅茶苦茶な物語には何度も惹きつけられ部屋に単行本が積み重なったが,ある時間が過ぎると,それらは古本屋に売ったりゴミとして出してしまった。石森章太郎のマンガはあまりそうしたことをしなかった。石森はすでに「新しいものが面白くない」時期に入っていたからということもあるのだけれど(こう書いてしまうと本エントリーの全体に整合性がとれなくなるが),永井豪のマンガを買ったときから一度も処分せずに数十年にわたって持ち続けている人がいるとしたら,それは(もちろん処分してしまう側でもかまいはしないが)病理的に説明可能ではないかと,これはときどき思うのだ。つまり欲望と体力のバランスの問題であって,結局そのバランスをとれぬまま10代を終えた。

私の友人たちは多くが似たような体力しか持ち合わせていないものばかりだった。総じて新しいものが一番,でもあった。徹は「新しいものが一番」の刷り込みからもっとも早く抜け出したかもしれない。今も変わらず映画好きの徹にとって,昭和50年半ばは名画座に加え,ビデオやレーザーディスクなどハードとソフトの日進月歩で幸せな時代だった。新しくないものでも一番を感じるのによい時代だった。

昭和50年代が終わり頃になると,鈍感な私たちにも「新しいものが一番」などとは思えなくなってくる事態にしばしば遭遇した。この数年のタイムラグは意外と大きい。新しくても面白くもなんともないものが,それも諸手をあげて歓迎される様をシニカルにとらえるしかなかった。ようやく,音楽で新しくないものでも面白いと感じるようになったのはCDの恩恵だ。“バイナル”などと(まるでピーター・バラカンじゃあるまいし)呼称を変え,レコードが持ち上げられるこの数年だけれど,当時,CD化をきっかけに聞いた体験があるので,CDを蔑む気にはまったくならない。

昭和60年代に入ってからは,だからアーカイブとして今も手元に残っているものが増えるのだ。

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