あなたを選んでくれるもの

ミランダ・ジュライの『あなたを選んでくれるもの』(新潮社)に現われるロンは,まるでデヴィッド・リンチの劇中登場人物のようで,それでもなお「彼を信じるこの世でただ一人の人になりたい」と記さずにいられない著者の感情が,なぜか...

巴里茫々

北杜夫の『巴里茫々』を古本屋で手に入れたのは少し前のこと。最晩年に刊行されたこの本はまだ読んでいなかったのだ。100円棚に無造作に置かれたきれいな上製本をそのままにしておくのは忍びなかった。このところ,そんな理由で本を抱...

亡国記

高田馬場で手に入れた『亡国記』(北野慶,現代書館)を読み終えた。巨大地震により島岡原発が大破。首都機能は北海道に移転。前半は『日本沈没』第2部のインサイドストーリーのような感じといえるかもしれない。著者のは小説家ではない...

出口裕弘

出口裕弘の訃報。 はじめて読んだのは『天使扼殺者』で,『京子変幻』『越境者の祭り』と3部作のような作品を手にした。1980年代に入って早々のことだったと思う。 ヴァンプに翻弄される男を通して,結局,ヴァンプが魅力的に映る...

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