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枕詞のようになってきた,気圧のせいか。起きたときの頭痛が続く。腸の動きが悪いので,その影響があるのかもしれない。

20時過ぎまで座談会のまとめ。内容は面白いものの,なかなか構成が見えてこない。木片から仏像(かどうか知らないが)を掘り出す作業に似て,とにかく全体像が見えてくるまで時間がかかってしかたない。プロのライターは,そのあたり,最初から見えているのだろう。

半村良『英雄伝説』を捲っている。一箱古本市に並べた本を整理しているなかから,通勤途中に読み直してみようと思い引っ張り出した。私にとっては,並べている本はもう一度,読み返したくなるものばかりではあるものの。

10代に,半村良の小説は『下町探偵局』以外,手を出すことがなかった。企業小説に絡めた伝記小説の開拓者の作品は,その頃の私には何が面白いのかよくわからなかった。1970年代後半,伝説シリーズの評判は高かったので,それでも『獣人伝説』を買ってみた。解説を読んだり,シリーズの他の本を眺めたりしながら,結局,他の作品に手を出すことはなかった。

当時のSFの定義(のようなものがあるならば)は,探偵,ルポライター,研究者など,とにかくサラリーマンではない一匹狼が事件に巻き込まれ,世界の謎にぶつかり,闘うというもので,アダルトウルフガイシリーズやせいぜい『日本沈没』,さらに80年代にかけて隆盛した伝記小説のイメージだ。何冊か続くと,評価は上がる。ヒロイック・ファンタジーは冒険小説だったし,ディックやバラードを読み始めるのは少し先のこと,だいたいその程度のものだった。

半村良の小説に登場するのは,会社員とバーテンダー,子どもの頃,弟は「会社帰り,屋台のおでん屋で一杯ひっかけて帰る,そんな生活が夢だった」らしいけれど,SF小説として,そうした話を読もうとは思わなかった。

読んだことはないものの,流行っているらしい 池井戸潤の小説に伝奇小説を接ぎ木したような『英雄伝説』は,もしかすると,今のほうが評判は高くなるかもしれない。テレビドラマ化する池井戸作品がなくなったら半村良を漁れば,似たような(もちろん半村良の方が先に書いている)作品がいろいろあるのではないか。後半が伝奇小説になるから,広告代理店間の競争にカタルシスを求める層には受けないだろう。

まあ,10代に読んで面白さを感じなくても,それはしかたない。

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