ビッグ・スヌーズ

6月が始まったばかりだというのに夏のような湿気と暑さ。

3年越しの翻訳書の見本が届く。同じタイミングで打ち合わせた本は書き下ろし箇所が仕上がらずいまだ出来上がっていないが。19時半くらいまで仕事。帰りに伊野尾書店で「新潮」を購入。事務所からカートを引っ張って帰宅。夕飯をとり,テレビを観る。

矢作俊彦の連載「ビッグ・スヌーズ」は,『大いなる眠り』に擬えると,すでに終わっていてよい頃合いではあるものの,この間,描かれた場面がとても面白い。「リンゴォ・キッドの休日」以来,一貫するテーマと『大いなる眠り』が見事につながる。レイヤー越しに物語が移行する醍醐味。

過去の事件を引っ張り出す術が新聞や雑誌なのも,本シリーズで一貫している。文字通り新聞(紙)を描くことが好きだったとしか思えない,これまでの足跡を思い出す。『ロング・グッドバイ』に比べると,「ビッグ・スヌーズ」の新聞はとても自然な感じがする。冒頭の一節が今回,方向を変えて(読み直していないのではっきりわからないが)登場する。従来の表現力に加え,構成の巧みさを本作では何度も感じる。すごいものだ。

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