掃除

日差しは非道くないものの,湿度が高いので体力を消耗してしまう。そのなかを半日かけて掃除。

午前中遅くに起き出し,朝食をとる。娘は試験勉強に出て,家内が買い物に行っているなか,たまりにたまった部屋の掃除を始めた。義父のところからもってきた荷物がいまだ片づかないので,どうにか置き場所くらいは確保しようと思ったのだ。

とにかく娘の洋服,小物が散乱している。掃除機をかけ,CDラックを移動し,電話台下のラックを使えるようにする。途中,何度か給水しながら,とりあえず娘に片づけさせるものを区分けした。

夜は踏切近くにできた中華料理屋で食べる。疲れたからか,早めに寝る準備をしたものの,結局,いつもと同じくらいの時間に寝た。

殺人者の空

二週続けて,前日の酒が残る朝。

遅めの朝食をとり,午後から床屋に行く。ついでに会社に行き,夕方まで仕事。家内,娘と18時に高円寺の改札で待ち合わせた。つばめ返しはせずに,新宿乗り換えた。改札のところでちょうど家内・娘と会う。南口の古着を見るというので,あとで落ち合うことにする。

座・高円寺の古本市はちょうど閉まったところだった。そのまま古書十五時の犬に向かう。前回,入ったときに山野浩一の『殺人者の空』『ザ・クライム』のハードカバーが置いてあったことを思い出した。古書十五時の犬は,とにかく開いているところに遭遇するのがまず難関なのだけれど,幸い数か月ぶりに開店している店に遭遇した。『殺人者の空』はカバーなしは500円だったのでそちらにした。というか,カバーあり/なしを選べる蔵書具合がすばらしい。前回来たときは『花と機械とゲシタルト』を買った。この店で山野浩一の本しか買っていないというわけだ。

南口に移り,家内たちが買い物しているであろう店を覗くと,そこにいた。しばらくかかりそうだったので,pal~ルックに行っていることにした。

アニマル洋子で,新井素子『あなたにここにいて欲しい』(ハルキ文庫)を見つけて購入。ちょうどルックを登ってくる家内,娘と一緒になり,ビーガン料理店で夕飯をとる。北口で明日のパンを買って,東中野へ。ブックオフで半村良の文庫を2冊,結城昌治『死体置場は空の下』(講談社文庫)を買い,歩いて帰ってくる。

以前もっていた『殺人者の空』は1980年代の初めに神保町で手に入れた記憶がある。「メシメリ街道」が収載されているというだけで手が伸びた。改めて読み返すと,山野浩一の短編集のなかで,一番面白いのではないかと思う。

10数年前,ヤフオクで手持ちの本やCDを処分しなければならない時期があり,『花と機械とゲシタルト』は当時,1万円くらいで落札された記憶がある。申し訳ないので,新書館版『X電車で行こう』の初版(たぶん,東武伊勢崎線界隈の古本屋で100円で手に入れたもの)を同梱した送った。

その後,『殺人者の空』と『ザ・クライム』を併せて売ってしまった。

この前も記したとおり,こうやって買った本が,当時持っていた本よりも状態がよいことに何ともいえない気分になる。売っ払ってしまった『殺人者の空』はカバー+ビニールカバー装だったけれど,本文の劣化はあまり変わらない。

ふる里

夕飯を誘われたので,昌己と待ち合わせの新大久保へ。誰だろう,新大久保が閑散としているなどといったのは。非道い混み具合だった。

先週の金曜日に出かけたふる里へ。今日は何も食べずに入ったので,餃子とつまみをたべながらビール,マッコリを飲む。その後,2品頼んだら十分にお腹いっぱいになった。枝豆や水餃子,プチトマトもサービスしてくれた。

入ったときは数人のグループとカウンターに2人。21時を過ぎたあたりで出てしまい,ご主人と3人でテレビを見ながらばか話をする。結局,22時半くらいまでいて,1人3,000円。

昌己に聴かないことへのこだわりの話をふったら,そうだよな,と当然のように返事だった。ルースターズって聞かなかったし,聞きたいとも思わなかった。じゃがたらだってそうだ。

「じゃがたらはライブみたら違ったかもしれないな。そういうバンドがあるよ」

待ち合わせに少し早く着いたので,盛好堂で宮内悠介の『エクソダツ症候群』の文庫版を手に入れた。向かいにあった風月堂はみあたらなかったものの,この書店は続いていた。

同じく先に着いたという昌己は中古のベースを見ていたらしい。そのうちスタジオに入ってみようかと思った。

訃報

夕方から柳原で打ち合わせ。日暮里経由で京成関屋に降りる。当然の暑さ。

18時に終え,会社に戻らず直帰。北千住駅前でハッピータイムに釣られて小一時間休憩して日比谷線から東西線に乗り換えて高田馬場に。ブックオフで3冊買って帰る。

午前中に山野浩一の訃報。ツイッターでやりとりしている人の何人かは共通して「メシメリ街道」,それも徳間文庫の『’72年日本SFベスト集成』収載で山野浩一作品に遭遇したというのが面白い。

高校時代,芳弘にすすめられて彼から出たばかりの文庫を借りた。他の短編の記憶をかき消すくらい「メシメリ街道」を読んだインパクトは大きかった。

それから数年かけて『X電車で行こう』は新書館版,早川文庫版,『鳥はいまどこを飛ぶか』も文庫,新書を手に入れて読んだ。『殺人者の空』や『ザ・クライム』も神保町で数百円出せば買えた頃のことだ。山野浩一の小説は全体,荒涼とした話が多いものの,独特の手触りがあって,見つけると読みたくなってくる。

北越谷の駅前にあった本屋で『花と機械とゲシタルト』を見つけたときのうれしさを今も覚えている。精神科病院でのアルバイトにつく少し前で,反精神医学について文献を集め始めていた頃のことだった。ごくふつうの本屋だったけれど,マンガ雑誌コーナーには「コミックばく」が並び,中井英夫の『名なし森』もここで手に入れた記憶がある。昭和50年代の終わりから60年代がそのなかばで終わる頃まで,町中にはそんな書店があたりまえにあったのだ。

『花と機械とゲシタルト』が精神医学からのアプローチだとすると,望月峯太郎の『東京怪童』は脳神経医学から,それぞれ重なるテーマへのアプローチをしている。

何年か前,Facebookで友だち申請に応えてくださって以来,山野さんのサイトとFacebookを通して近況は伝わってきた。数日前,かなり厳しい状況だというポストがあった。それでもこんなに早く亡くなるなんて。

昨日,ツイッターでやりとりした文芸評論家の方に伝えたのは,日本のすばらしい小説家に対する評論を読みたいということで,とにかく重要な国内小説家に関する評論が少なすぎるのだ。

山野浩一はもちろん,とにかく矢作俊彦論を誰かまとめないだろうか。まあ,Webで知るだけでも矢作俊彦ファンの濃さは並大抵のものではないので,ありきたりの評論では見向きもされないかもしれないが。

住吉

午後に打ち合わせがあるので,昼から住吉に出かけた。昼食はオリーブでエビカレーとアイスコーヒー。清澄白河の余波なのか,新しい喫茶店ができていたけれど,ここは10年位前,仕事で住吉に出かけるようになったときからあった。あっさりした欧風カレーで,最近ではめずらしい味。茹でたじゃがいもとバター,スープ,付け合せが並ぶ,正統派だ。味はあっさり気味だから,以前,東中野になった欧風カレー屋のこってりとした美味しさを思い出してしまった。仕事を終え,夜は娘と待ち合わせしてサワディーでとった。

住吉に行くと,居酒屋すみよしのおいしい刺身と酒,成人向け雑誌をメインにした狭い古本屋で探す一般書,華原朋美の実家(居酒屋)をながめ,錦糸町に向かうところにあったブックオフあたりに寄るのが常だった。格子状に伸びた道を一本裏に入ると,築50年は越すであろうアパートというか共同住宅が何棟か残っていて,暑くなければ,ぶらぶらするのも楽しい。準備していけばハゼ釣りだってできる。

ブックオフはなくなったものの,この10年で街並みはほとんど変わらない。住むとなると面倒くさい感じがするけれど,ときどき来るのには手ごろな町だ。

サワディーは久しぶりだった。入ったときは他に客は誰もいなかったけれど,娘から学校の話を聞きながら食事をしているうちに,1人客,続いて2人連れは入ってきて,厨房は賑やかになった。厨房とフロアを1人で掛け持ちするのだから,このくらいの混み具合がちょうどよいのかもしれない。

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