客層

肩こりの非道さは今にはじまったことではない。ときどき強烈な様相を呈してくるので,数年前から,年に1,2回,整骨院などを利用することがあった。

今年に入ってから,実家の片付けの行き来に片道2時間かけるようになった。通勤時間の4倍だから,いきおい身体のコリはさらに非道くなる。

実感近くで一度,利用してから敷居が低くなり,月に1回くらい入るようになった。60分で3,000円程度が相場だろうか。実家近くでは,主婦,高齢層に混じって20~30代男性が利用している様子だけれど,これが都心にくると,圧倒的に20~30代男性の利用が多い。別にマッサージ師が女性かどうかが問題ではないようだ。

20~30代で,1時間3,000円をマッサージに払うことに躊躇らいを感じないことが,まず驚きだ。私の頃とは日常,お金をかける場所がまったく違うのだろう。

もう一点,彼らはそんなに身体が疲れているのだろうか。

ときどき,「うっ」「そこそこ」など,男性マッサージ師相手に声をあげているのが聴こえてくるのを,やりすごすむなしささえ耐えれば,50歳には助かる場所なんだけれど。

2014 Best Album

数年振りに新譜をそれなりに買った1年。

ベストアルバムは,ENO・HYDE“SOMEDAY WORLD”。

リードトラックの“The Satellites”,とにかく2014年にこの音の鳴ること自体,驚き。今年一番多く聴いた。

次が赤い公園の“猛烈リトミック”。

こちらはオーラスの“木”に尽きるのだけれど,動画はないので,こちらを。

最後が,くるりの“THE PIER”。前作と双子のアルバムという感触は変わらないが,手間のかけかたに感動した。

PVが面白かったこの曲。

いま語るべき宇宙戦艦ヤマト

安彦 ガンダムの直接の先駆けになったのは「宇宙戦艦ヤマト」なんですよ。僕はヤマトのスタッフでもあったんだけど,あれはまさに戦争のお話で…。
矢作 でもあれは海戦ですよね。バトルという意味での戦争なんですよ。
安彦良和vs矢作俊彦,アニメ,ネットにあふれる“リアル”の正体とは…?,月刊ガンダムエース,2003年11月号.

「宇宙戦艦ヤマト」が描いたのはバトルという意味での戦争だ,といったのは矢作俊彦。ホーンブロワーシリーズで戦争を語ることが難しい(できないわけではないだろうけれど)のと同様,“いま語るべき”と冠された本書のように,「宇宙戦艦ヤマト」を通して,「戦後日本の転換期」を語るのは容易ではない,というか適切ではないと感じた。内容自体は面白かったので,すぐに読み返してしまった。ただ,その面白さは,同人誌などで何が語られているか目にしたことがない私にとって,語られ方の目新しさなのだと思う。

「宇宙戦艦ヤマト」をはじめて見たのは1975年,夕方の再放送だった。仮面ライダーの模写でなんとかフォルムをとることができるようになり,アニメやマンガを鉛筆やペンで描きはじめた頃だったものの,当時,ヤマトのフォルムは印刷媒体でほとんど目にしなかった。放送の記憶をたよりに何度も描いたけれど,とにかくディフォルメされた遠近法とパーツの多さはメモリーを遥かに凌駕する。いくら描いても,似ても似つかないものになる。

その頃,やってきた転校生が見事にヤマトを描いているのを見て,心底驚いた記憶がある。私が描いたヤマトは鼻であしらわれ,記憶と事実の違いをあれこれ指摘された。私は松本零士どころか,マンガ家をほとんど知らなかった。彼から秋田書店でマンガが出ていることを教えてもらい読んだものの,正直,その頃は松本零士の線が上手いとは,いや格好よいとは感じなかった。

1977年に「OUT」のヤマト特集号,たぶん隕石か何かに擬態して航海するような設定資料が掲載されたものを神保町の高岡書店で目にした記憶がある。高岡書店には,すでに抜け(売り切れ)は何号かあったけれど,入り口付近に「OUT」のバックナンバーが揃っていた。立ち読みしたが,結局,買わなかった。8月には池袋の映画館に朝5時くらいから並んで総集編の映画を観た(本書によると「スターシャ死亡編」)。1978年には続編も見たし,その後もテレビ,映画を見に行った記憶がある。本書をもとに記憶を整理すると,1980年の映画『ヤマトよ永遠に』を最後に,その後の作品を見た記憶はない。

5年も経てば,こちらも成長する。

少し前の1979年には,すでに「いまさらヤマトじゃないだろう」という感じが私のまわりには漂っていた。サンライズアニメとラブコメマンガについての語りがメインストリームに躍り出た。

すでに私の関心はアニメから,マンガやロックに移っていた。それでも1980年に『ヤマトを永遠に』をあの転校生と見に行ったのは,なにがしかの期待をしてだったのかもしれない。別の高校に進学してから,ほとんど連絡をとっていなかった彼と,どのような経緯で映画を見に行くことになったのか覚えていない。

彼はとうにヤマトから関心が離れ,その日,ほとんどその映画については話さなかった。

読みながら,そんなことを思い出した。

近況

矢作俊彦の『フィルムンワール/黒色影片』を読み返してたところ,先にFBに投稿したつながりの悪い箇所は,すべて本文に示されていることを確認した。まあ,2か所だけれど。

読み返しながら,かたや古本屋であれこれ購入し,結局,昨日今日で先に半村良の『聖母伝説』を読んでましった。大槻ケンヂよろしく半自伝的小説はとりあえず読んでしまうので,これもついページを捲った。

昨日は横浜で取材の後,そのまま実家へ向かい,必要な雑誌を持ち帰った。

今朝も横浜で午前中,取材。帰りに自由が丘の読書空間みかもの一箱古本市に顔を出した。携えた「リリカ」と「NEW-SF」を物々交換。いや,その前に駅前の古本屋で『プルーストからコレットへ―いかにして風俗小説を読むか』を発見して購入。これは長くの間,探していたのだけれどなかなか見つからなかった一冊。

読書空間みかもは趣ある佇まいのなか,知り合いのお店はじめ数店が並べる。三浦綾子の『氷点』,かこさとし画の『マトリョーシカちゃん』,今敏の『新装版 海帰線』を購入。

自由が丘駅前のBOOK 1stで『いま語るべき宇宙戦艦ヤマト』(竹書房)も購入。帰りに高田馬場で軽く飲みながら『いま語るべき宇宙戦艦ヤマト』を読む。これ面白いな。

家に帰ってから,夕方まで眠り,その後,サイトの手入れ。とりあえず,「矢作俊彦 因果律ランダムハウス」は,先のページに固定ページのリンクを貼りながらつくっていくことにする。

因果律ランダムハウス

『フィルムノワール/黒色影片』刊行後,というか,WordPressでサイトを運営できるようになってから,矢作俊彦に関するポストをあれこれエントリーしているけれど,もともと,こちらのサイトにページを増やしていくのが本筋。

ただ,いまさらフリーのWYSIWYGエディタを探してページをつくっていくのは面倒くさい。あちらのサイトをWordPress仕様に作り替えるのが一番なのだが,出来合いのフリーデータを少し変えただけにしては,デザインや行送りなどの見やすさも悪くはない。レスポンシブルにちょっと近い見栄えも捨てがたい。

そんなふうにして,時間がたち,データは分かれたまま積み重なっていくのだ。

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