• 初出:小説推理,p.242-264,1982年1月号
    (単行本『さまよう薔薇のように』に掲載された初出は誤植)

「キラーに口紅」は,『さまよう薔薇のように』(光文社,1984)に収載されるにあたり,かなり手が入れられている。もっとも大きな違いは,語り手の一人称が「俺」から「私」に変えられたことだ。

レイモンド・チャンドラーの『高い窓』『湖中の女』が文庫化に際し,ポケミス版の田中小実昌訳の「俺」から清水俊二訳の「私」に変わったのは必ずしも成功していなかったと思うけれど,こちらは,すんなりと受け入れられた。

killer