Box

矢作俊彦さんのSNSで特装版『マイク・ハマーへ伝言』刊行のアナウンス。制作部数からするとオンデマンド印刷なのかと想像していたところ,プレスリリース(なのかな)に示された定価はかなり高額。

活版からとった紙型をフィルム撮影してオフセット印刷(ここまでは想像,まさかこんなふうにはつくっていないだろうけれど),さらにフランス装だというので,アンカットで出して製本用のチケット付きの価格――とすれば妥当というか,安いとも考えられるけれど,そんなことはないのだろうな。

キングクリムゾンのCDボックスセット(20数枚入り)と似たような価格帯なので,まあボックスセットを買うつもりで向き合えば,手を出さないことはない。CDが対時間比で値付けされるのであれば,本はいまだ紙に対して値付けされていると考えれば,この値付けは本来の電子書籍の値付けに近いものだろう。それも困ったものだが。丸山健二が立ち上げた出版社があって,そこで刊行された本の定価をみると,なんだか似たような印象だし,丸山健二の本を買うくらいならば『マイク・ハマーへ伝言』を買うのは当然だが,まあ,この値段で本を買うという行為がいまだ想像できないのが難題だ。

Movie

忙しいにもかかわらず,この1週間で2本の映画を観た。一本は「ベネチアの亡霊」で,もう一本は「くるりのえいが」。

何年ぶりかで出かけた日比谷にはミッドタウンが立っていて,ガード下からしばらくの景色はそれほど変わっていないかなと思ったのだが。少し地下に入ると,途端,歴史を感じる空間が残っているのはこのあたりの強みというか,他には変わりようがないものだと思う。

「ベネチアの亡霊」はホラーミステリだと思えば,よくできているのだろうけれど,それはクリスティー原作とは思えず,ベネチアで撮影される意味もあまりなかったように思う。

「くるりのえいが」は面白かった。こちらは新宿で観て,舞台挨拶の回のチケットがとれた。家内と娘と一緒に出掛け,夕飯を食べて帰宅した。

このところ

さて半月ほど記録が滞ってしまった。

決算に向けて,とりあえず売上を立てて請求書をつくり,打ち合わせを入れて,の日々。雑誌が進行し始める時期なので,それもあるし。売上を立てるためのやりとりが,今期には反映しないものの来期の売上につながりそうであったり,まあ,何かすると何かが進むのだろう。

踊ってばかりの国のライブをbillboard東京で観たあたりから記録がないようだ。よいライブだった。店のスタッフはまあ非道いものだったが。

先週は毎日,何らかの打ち合わせをしていた。夢野久作の『犬神博士』を何年振りかで読み返しはじめた。

VivaldiがiOSに対応したのでアプリをダウンロードした。トラッカーと広告ブロック機能はもちろんついているものの,いまのところ一定の線までしか機能していないようだ。他に何か設定しなければならないのかもしれない。

先日,ほとんど同い年で,近しい経歴をもった仕事上の知人と話したところ,ネットやコンピュータに関する関心というか,それで済ませるものは済ませてしまおうという諦念をもとにした取り組みにかなり温度差があることに気づく。仕事のサイトを独自で(金を出す余裕などないし),決済システムまで,見よう見まねでつくるようなことはせず,でもそのあたり何とかしておかなければというプレッシャーを仮に感じていないのだとすると,それはよいことなのかもしれないと思う。

近況

9月に入り,打ち合わせや外出が続き,いきおい更新が滞る。

以前からデータ化しておいたほうがよいかもしれないと思っていた「眠れる森のスパイ」をえいやっとばかりスキャンし始めたのは少し前。まだ20回分くらいまでしか済ませていないが,週1回,10回分ほどを済ませる予定だ。

先週末はチャーミングセールに出かけ,翌日は座談会の収録,さらに姪の結婚式と続き,一日空けて,昨日は踊ってばかりの国のライブをbillboardに観に行った。オリジナルのキング・クリムゾンがブッキングの手違いでダンスパーティーに呼ばれ,いつものとおり,スキッゾイドマンからライブを始めたエピソードを思い出すようなバランスを覚えながらも,なぜかとてもよいライブだった。

本サイトのREFERENCESに載せたように河合隼雄が1971年にまとめた中公新書『コンプレックス』中,「メサイヤ・コンプレックス」と称したコンプレックスについて記している。河合隼雄前に「メサイヤコンプレックス」という言葉を使ったものを読んだことがないから,でしかないものの,これは河合隼雄がつくったんじゃないかと訝しいのだけれど,にもかかわらず,このコンプレックスは巷のもろもろを考えるとき,よい手がかりになる。そのエビデンスなどわからないとはいえ。

で,ネットを検索すると,まあヒットはするものの,エビデンスについて触れられたページに遭遇したことはない。初手からエビデンスなどないのかもしれない。

あまり広くない

午後から朝霞まで取材に出た。数年前に同じ仕事できたときは,なんだか寂れた感じがしたのだけれど,今回はにぎやかな印象をもった。前回と同じ通りを行き,昼食をとった店を思い出す。その後,昼時の営業はやめてしまったらしく開いていない。

少し歩き,ルーマニア料理店で昼食をとった。旨かったものの,冷めづらい料理が多いのか,サーブされてしばらくしても熱いままで,口腔に少しやけどしてしまった。

17時までかかり仕事を終えた。近くに古本屋を探すと,無人古本屋があるらしい。地図に沿って歩く。ただ,このあたりの道はほとんど直角に交わることがなく,曇り空に日も落ちて,方向はわからない。数回,方向を間違えて,無人古本屋に向かう道らしきものを見つけた。その角に,無人ではない古本屋があった。スイーツも販売しているようで,古本は自分には馴染みないもの中心なのかなと思いながらも入ってみた。

絵本で1間とってあったものの,カウンターのぐるりに向かい合うように添えられた棚に並んでいる本はなんだか馴染みのあるものが多い。橋本治の徳間文庫エッセイが2冊あり,でもその2冊にはギャルズライフに載った倉多江美論は収載されていない。奥から店主が出てきて在庫を確認してもらうと,探している文庫本は売れてしまったようだ。

文庫1冊,新書1冊とスイーツを購入し,帰りしなに店主と少し言葉を交わすと,どうもいろいろと接点のあるご夫婦だということがわかった。

翌日,昌己にメールすると,朝霞や志木あたりでご主人とはよく飲んだそうで,奥さんは昌己の奥さんと職場が一時一緒だったのだとか。

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